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アテナ映像

週刊代々木忠

快感マトリックス
  僕は「スペシャル」とか「特別記念」的な作品が苦手である。なぜかというと、事前に企画というものがなく、その場で起こってくることを撮っていく手法なので、スペシャルや特別記念になるかどうかは、撮ってみないことにはわからないのだ。

 今年、アテナ映像が創立30周年を迎えるにあたって、プロデューサーからは「30周年記念の作品を」と言われた。「でも、それ用に撮るのは無理だよ」と答えた。ただし今回、撮り下ろし作品は無理でも、僕には珍しくひとつのイメージがあった。どんなイメージなのかは、順を追って書いてみる。

 ウツの頃、僕はつらい体験を持っている女の子たちとの接触のほうが多かった。つらい体験は人によって異なるけれど、幼い頃に親から受けた虐待であったり、かつてつきあっていた男の裏切りであったり……。僕は、こんなにも多くの人間が過去のトラウマに今なお苦しんでいるのかと気づかされたのだった。

 肉体にハンデキャップのある人は、見てそれとわかるケースも多い。でも、心に傷を負っている場合は、たとえその傷が深くて大きくても、見た目ではわからない。そのうえ、心の傷はなかなか人には打ち明けられない。だから、よりいっそう出口が見つからないのだと僕には思えた。

 さらに、心に傷を持っている人たちのセックス傾向や異性とのつきあい方には、ある種の共通項があるのがわかってきた。その一例をあげると、トラウマを持っている人たちはSMにハマりやすい。そして、強い刺激がないとダメなのだ。

 そういうセックスの形があるかと思えば、20年以上前、催眠からチャネリングの世界に入って、体をふれ合わなくても幸せになれるという現実があるのを知った。強い刺激を求めるSMとは、まさに対極のようなセックスに思えた。

 雑誌の取材等で「どうしたらオーガズムが体験できるか?」とか「どうやったら女をイカせられるか?」という質問は数え切れないくらい受けたけれど、「心に傷を負った人たちは、どんなセックスをしたらいいのか?」という質問は一度として訊かれたことがない。でも、そういう人がこんなに多いことを知ってしまった僕は、彼ら彼女らがどういうふうにしたら、いいセックスができるのかについても作る責任があるんじゃないかと思ったのだ。

 そこを出発点として、どうせならセックスのレベルと心のありよう(意識の階梯)をリンクさせた一覧表のようなものがもし作れたら、それを見た人が、自分はどの段階にいて、どうすればさらに上に行けるのかがつかみやすいんじゃないかとイメージはふくらんでいった。それが以前、このブログでも紹介したことのある「快感マトリックス」という名の一覧表である。





 一番上の段に「意識階梯」として心のありようが、2段目に「ステージ」としてセックスのレベルが表示されている。僕はセックスのレベルをこれまでの現場での体験をふり返り、「オーガズム」から「絶望」まで全部で8つに分類した。つまり、すべてのセックスはこのいずれかに当てはまるのだ。

 そして今回のDVD作品には、8つに分類したそれぞれのセックスに対応する映像を、今までに撮った僕の全作品の中から探し出した。手順としては、まず制作部の長井に、各意識階梯ごとに5~6作品を候補として選んでもらった。長井は僕以上に僕の作品に精通している。しかも女性である。今回の作品には女性の視点もぜひ入れたかったのだ。こうして候補群の中から僕が最終的に収録作品を選び、再編集した。

 だが、それらの映像にはあえて説明のようなものは入れていない。そこで起こっていることを、まずは先入観なしで見ていただきたいと思ったからである。きっと見る人によって、とらえ方や感じ方は異なることだろう。

 ドラマならば先に脚本があり、監督にしてもこう見てほしいというプランがある。だから音楽もそれに沿ってつけていく。けれども、ここに収めた映像は、冒頭でも書いたように、現実に起きていることだから、事前の決め打ちはしていない。見る人によって、さらに言えば、見る人の関心や体験や感情によって、同じ映像でも異なる見方がいくつも存在するはずである。だから同じ人でも、たとえば半年後にもう一度見たら、まったく違う発見があるかもしれない。

 「セックスなんて、どうせこんなもんだ」と思っている女性は驚くほど多い。「だれとセックスしても、女なんてみんな同じだよ」と思っている男性が多いように。でも、そんな人たちが「そうじゃないんだ」ということに気づいて、それがパートナーと向き合う、ひいては自分と向き合うきっかけになってくれれば、僕はこれにまさるよろこびはない。



2011年01月28日