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アテナ映像

週刊代々木忠

歩きたくなる靴
  いいセックスをするためには「心」のつながりが大切だと、幾度となく書いてきたが、じゃあ「体は?」と問われれば、もちろん重要である。セックスで感じるためには、それ相応のエネルギーが必要になる。その土台は、やはり「体力」なのだ。というわけで、今回は体にまつわる話である。

 体の重要性を説くからには、代々木は自分の体に自信があるんだろうな、などと思う方がいたとしたら、答えは「すみません」である。かつて「うつ」の頃という話でも書いたが、僕の骨格は歪んでいる。その理由のひとつに、長年の外股歩きがある。外股で歩く→股関節がずれる→片方の骨盤の位置が高くなる→バランスをとるため反対側の肩が入ってくる→背骨が歪む→神経に支障を来す→臓器に問題が出る。と、まぁ、そういう原因と結果の連なりなのだ。

 だから、かれこれ5年半、股関節の矯正に通っている。週に一度の通院だけでなく、日常生活でも僕なりに気をつけている。ウォーキングを日課としているが、ウォーキングのみならず、歩くときには外股にならないように心がけているのである。ところが、長年のすえ身についた癖なので、ふと気がつけば外股になっていたりする。

 タイトルは忘れてしまったが、かつて読んだ、ベトナムの禅僧ティク・ナット・ハンの書いた本の中に「皿を洗うことも瞑想である」という言葉があった。たとえ家事をしながらでも、その意識さえあれば瞑想になるんだよと彼は言っているのだ。ならば、一歩ごとに自らの足と対話する歩行もまた、瞑想になるのではないかと僕は思ったのだった。

 昨年の10月、テレビの演出家であり映画監督でもある三枝健起さんとお会いしたとき、変わった靴をはいていらっしゃった。ソールが弧を描くように丸い。横から見ると、ドッジボールくらいの大きさの球の下側を切り、それを靴底にしたような形である。三枝さんが、MBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)という靴なのだと教えてくれた。「はいてみますか?」という言葉にあまえて、その場ではかせてもらう。はいて立ち上がると、重心をとるのも大変で、体が前後に揺れた。

 三枝さんも言うように、この靴は、踵から着地して、内側に重心をかけながら親指で蹴り出すという歩き方が求められる。それは股関節矯正のために通っている磯谷式力学療法が求めていることと同じだった。

 すぐに僕はMBTを買った。日常使ってみた感想としては、ふくらはぎ、太腿、尻、背中と、いろいろな筋肉が鍛えられる。歩けばもちろんだが、立っているだけでも、全身のバランスを取ろうとするから効くのである。

 でも僕にとっては、筋肉の強化以上に、骨格に効いたという実感がある。歩くという動作において、正しい姿勢に矯正されていく気がするのである。たとえば、MBTはフラットな通常の靴と違い、弧を描いているため、ソールの真ん中がふくらんでいる。いつもの調子で歩いていると、ここがちょっとした路面の起伏に引っかかり、つんのめりそうになる。そうならないためには、今まで以上に膝を上げ、踵から先に着地することを意識させられる。

 はき始めてまもなくの10月下旬から、僕はローマ国際映画祭に行くことになった。異国の地である。はき慣れた靴にしようかと一瞬迷ったものの、せっかく始めた体にいいことは継続したかったから、MBTをはいていった。道路は石畳なので大変だったが、それはある程度予想していたこと。

 予想外だったのは、写真である。娘も一緒だったので、向こうでは彼女が僕の写真を撮ったり、僕が彼女を撮ったりした。が、僕が撮った写真の多くは手ブレしていた。娘からは「何これ、お父さん!」と怒られた。今どきのカメラには手ブレ防止機能が付いている。構えるときには脇をしめてカメラを固定するのは、僕だって知っている。にもかかわらず、ブレているのだ。もっとも、座って撮った写真はちゃんと写っている。ということは、自分では気づかぬまま、体はバランスを取ろうと微妙に揺れていたらしい。

 なぜ、僕がここまで骨盤の矯正にこだわるのか? 先に書いたように「骨盤の歪みがいろいろな病気を引き起こす原因になるから」というのは、もちろんある。しかし、それだけではない。磯谷式力学療法を始めて、骨格については先生から嫌というほど説明を受けてきたし、実際に骨格標本をくり返し見せられたりもした。ずっと外股で猫背気味だった僕も、人間にとって最も理想的な骨格というものを一度でいいから体験してみたいのだ。

 今年になって、鬼闘監督から「これ、いいですよ」と別の靴をプレゼントされた。「SKECHERS Shape-ups」という靴だ。この靴も、MBTと同様、ソールが弧を描いている。MBTをはいて歩く際には、常に足の外側(小指側)ではなく内側(親指側)に重心をかけるよう気をつけてきたが、「SKECHERS Shape-ups」は、はいただけで重心が内側にくる。その意味では、MBTよりさらにいい。それ以来、僕は毎日この靴を愛用している。まっすぐどんどん足が出ていく感じで、歩くのがよりいっそう楽しくなる靴だ。

 楽しみながら歩きつづけた先には、本当に理想の骨格が待っているかもしれない。

2011年02月04日