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アテナ映像

週刊代々木忠

セックスの中の現在・過去・未来(1)
  撮影に入る前、女の子に催淫CDを聴いてもらうことが多いのだが、聴き終わったとき、みんなに必ず同じ質問をする。「今、誰とセックスしてた?」

 以前にも書いたが、聴けばエッチになってしまうこのCDには、催眠誘導が入っている。催眠誘導に従い、彼女たちはまさにイメージの中でセックスをしている。その相手は誰なのか? イメージだから誰にもわからない。それゆえ、いちばん“したい”相手が出てくるのである。

 今の彼や夫としていたと答える女性は、残念ながらほとんどいない。100人聴いて1人いるかいないか。では、彼女たちが誰としているのかといえば、圧倒的に多いのが元カレなのだ。次が、まだつきあってはいないが、密かに「あの人いいな」と思っている男。

 彼や夫が〈現在〉だとすれば、元カレは〈過去〉、「あの人いいな」は〈未来〉。多くの女の子は〈過去〉あるいは〈未来〉にいて、〈現在〉にいない。なぜそうなってしまうのか? それは思考が働きすぎているからである。

 たとえばこの夏休み、あなたはどこか南の島に旅行したとしよう。ひょっとしたら、やり残してきた仕事が気になるかもしれない。あるいは、休み明けの会議や売上目標についてあれこれ打つ手を考えるかもしれない。どちらも思考が働いているから、重い感情に心を引っぱられる。

 そうかと思えば、美しい海や空を充分に満喫し、幸せな気分に浸れるかもしれない。この幸福感は思考からくる感情ではなく、本能からくる感情だ。思考は〈過去〉や〈未来〉に、本能は〈現在〉に照準が合う。〈現在〉に照準が合わなければ、体だけ南の島に行って、心は会社に置き忘れてきたままの旅になる。

 話を女の子に戻すと、撮影現場にて目の前の相手と向き合うためには、まぎれもなく〈現在〉に彼女がいなければならない。今を楽しめなければ、いいセックスは絶対にできない。さて、そのためにはどうすればいいのか?

 まず1つの方法としては、場の空気を明るくして、彼女自身をポジティブにしてゆくということ。要するに、何をしてもOKという状況を作るのだ。そうすると、本能に根づいた感情が出やすくなる。

 この方法で重要なのは、自分がまず率先してそうなるという点である。こっちが冷めていて、君だけスケベになってというんじゃ、上手くいくわけがない。「この監督、単なるスケベなオジサンじゃん」と思われなければ、何も始まらないのだ。もっとも、そう思わせようとすれば、スケベなフリではダメで、本当に根っから自分がそうならなければいけない。

 監督という肩書きのままであれこれ要求しても、女の子はおそらく言うとおりにしてくれるだろう。でも、それはあくまでも服従であって、明け渡しではない。

 作品を見ていただけるとわかるが、「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」は千葉の別荘にて、最初の晩、女の子と二人きりで過ごすことが多い。僕は「単なるスケベなオッサン」として彼女といろいろな話をし、そのうえで催淫CDを聴いてもらう。

 余談だが、CDを聴いて「誰とセックスしてた?」の質問に「監督と」と答える女の子もこれまでそれなりの数いた。CDの中の催眠誘導は僕がしているというのもあるだろうし、なによりもその前にコミュニケーションが取れていて、心を開いた状態でさんざんスケベな話をしているのが大きいだろう。

 「おやすみ。明日は男優さんも来て撮影だから、ゆっくり休んで」と言って、女の子には2階の和室に一人寝てもらう。僕が1階のベランダで夜空を見上げながら酒などを飲んでいると、ガラッとガラス戸が開き、女の子がやってくる。「監督、眠れないの…」僕は内心マズいなと思う。顔には出さないけれど。催淫CDを聴かせて気分をさんざん掻き立てておきながら、明日の撮影までオアズケ状態なのだから、寝られないのも無理はない。

 次にだいたい女の子は僕の体に手を置きながら、「ねぇ、がまんできないよ」と潤んだ目で訴えてくる。僕はますますマズいなと思う。
(つづく)
2011年07月22日