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アテナ映像

週刊代々木忠

禁欲のススメ
  先々月、このブログで「溶け合えない『私』」という話を書いたとき、読者の方から次のようなコメントをいただいた。

 〈セックスがPOP化、情報化されてしまったという点が大きいように思います。金や情報やラブホテルがない場合、セックスへの「飢え」と「幻想」と「想像」が高まります。事前の「抑圧」が高いほど、感動的なセックス体験や自我の解放につながりやすいのではないかと思います〉

 僕もそのとおりだと思う。そこで今回は「禁欲の効用」についてである。

 監督として事前面接を行う際、プロデューサーからその女の子の資料がまわってくる。彼と同棲していて毎日セックスしている子がいるかと思えば、結婚していても、まったくセックスしてない人もいる。

 してない人に対しては、まるで蓋や栓のごとく抑圧しているものを取り除くことができれば、内に溜まっていた欲情がほとばしり出してくるので、感動的なセックスが撮れる。なにより画に力が出てくるし、男優はノッてくるのだ。ところが、同棲して毎日のようにセックスしている女の子は、欲情が内側に溜まっていないぶん、現場でいいセックスは期待できない。

 僕自身をふり返ってみても、かつて女房が劇団を持って日本全国を旅していた頃は、短いときで1週間、長いときは1カ月以上会えない日が続いた。それを経たうえでのセックスが、ふだんにもまして燃えるのは、みなさんもきっと経験があるだろう。

 今も女房は、娘夫婦が転勤した北海道へ孫の世話のために出かけている。さすがにこの歳で燃えるってことはないものの、ふと、今、何してるのかなぁ……と思っている自分がいたりする。一緒にいれば、うるさいなぁと思うこともないとは言えないのだけれど。

 世の夫婦が結婚してセックスがだんだん減っていくというのはよく聞く話だが、ずっと一緒に生活しているから……というのも、きっとその一因に違いない。それにひきかえ、単身赴任している人はいろいろ負担もあるだろうが、会えない距離と時間をうまく使えたら、ずっと同じ家で暮らす夫婦よりもいいセックスができるはずである。

 ことほどさように禁欲には効果がある。実際、監督面接でこの子を撮ろうと決めたら、僕は口癖のように「撮影日までは禁欲生活してよ!」って女の子に言う。「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」の現場にて、催淫CDで火を点けておいて一晩“おあずけ状態”にするのも、禁欲のためである。発散させないと、彼女の中では欲情というエネルギーがどんどん膨らんでいくからだ。

 だから、これを読んでくれているあなたにも、したいときに我慢することをおススメしたい。ただし、今やネットには欲望のいろいろな起爆装置が埋め込まれているのも事実である。AVの配信のみならず、おカネを払わずにマスターベーションできてしまう仕掛けは、そこかしこに転がっている。

 しかし、そこで溜まった欲望を放出させてしまうと、禁欲効果は無に帰する。しかも、生身の相手ではなく、代用品で済ませてしまうというのが、なにより問題なのだ。AVを作っている僕が言うのもなんだけど、たとえばそういう動画を見たとしても、ムダな放出はしないように我慢するのがいいように思う。

 代用品で掻き立てられた欲情をせっせと溜め込んでおいて、それを生身の人間に一気に放出できれば、代用品に惑わされることもなくなるはずである。
 
2011年09月09日