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アテナ映像

週刊代々木忠

「好き」は自分の中にある?
 
 「愛と性の相談室」で女性たちと話をしていて、感じることがある。編集で落としている部分もあるが、多くの女性に共通しているのは、いろいろ考え過ぎているということだ。本人にとって切実なのはよくわかるけれど、ともすれば一人相撲になる感も否めない。

 たとえば、ある男性が言い寄ってきたとき、相談者のある女性は「こんな私のどこがいいんだろう?」と考えている。「彼はあなたに好意をもって来てるんだから、そのまま受け止めればいいんだよ」と僕が言えば「それはそうですよね」と答えるものの、話が進んでいって次のテーマになると「でも、私なんか……」とまた元に戻ってしまう。

 これは監督面接で会う女の子たちも同様で、彼女たちは恋愛の悩みを友人に相談し、「そんな男はダメよ」とか「あなた、ダマされてるのよ」というアドバイスをもらって、結果的に別れてしまうというケースが多い。恋愛をテーマにした実用書やエッセイもたくさん出ているので、彼女たちはそういう本もよく読んでいる。

 僕からすれば、知識や情報が多すぎて、それが逆に人と人との本当のつながりを邪魔しているように見える。言い寄ってきた相手のことを好きならば「うれしい。私も好きよ」でいいと思うのだが、現代人は思考し分析してしまう。そして、言葉の裏側までをも探ろうとする。

 人がよろこんでいたり、悲しんでいたり、怒っていたりする写真を見ただけで、ミラーニューロンは反応するそうである。つまり、写真に写っている人物がよろこんでいるとすれば、見ている人の脳の中でもよろこびという感情が湧くのだ。

 写真だけでそうなるのだから、目の前に生身の人間がいれば、その人が本当にあなたを好きなのか、あるいはそれが偽りなのかは、自分のミラーニューロンに聞いてみれば、他のどんな知識や情報よりも確かなのではないだろうか。

 だから、知識や情報を持たない人は、ある意味、幸せかなと思う。頼ろうにもそれがなければ、自分で見ようとするからだ。たとえば、セックスのマニュアルに「クリトリスをさわれば女は感じる」と書いてあったとする。それを読んだ人はセックスのとき、当然それを試みるに違いない。ところが、それを知らなければ、手さぐりでどこが気持ちいいのかを探すことになる。探しているうちに、女性の表情なり反応で、自分のミラーニューロンも同じところが発火し、それを感じ取る。

 ミラーニューロンが発見されてまだ15年くらいしか経たないけれど、その間にも現代人のミラーニューロンは退化しつつあるのではないかと、僕はちょっと心配になる。他者が、あるいは社会が発信するものに頼るがあまり、自分の直感を信じていない人が増えているからだ。筋肉だって使わなければどんどん衰えてしまうのだから、同じことがミラーニューロンにも言えるのではないか。

 恋愛においても、考えるのをやめて正面から向き合ったとき、きっと相手の本質は見えてくるだろう。

 最後にひとつ、ちょっとした提案がある。それは、自分の部屋の目につくところに、好きな人の笑顔の写真を飾っておくというものだ。むろん愛想笑いではなく、心からうれしそうに笑っている写真である。先ほども書いたが、ミラーニューロンは写真にも反応することが科学的に証明されている。好きな人が幸せな気分で写った写真を見れば、あなたも幸せな気分になるだろう。日に何度もそれを見れば、見るたびに幸せになる。すると、人生までも変えてしまうかもしれないと思うのだが、いかがだろうか。
2012年01月27日