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アテナ映像

週刊代々木忠

代々木流ビデオ撮影講座
  一般の人たちがビデオを撮る機会といえば、以前なら子どもの運動会とか、友人の結婚式とか、特別なイベントが多かった。あるいは、幼い子を持つ親が成長記録として……というように、撮る人も限られていた。今はビデオカメラも高性能なものが安くなり、デジカメはもちろんケータイやスマホでも動画が撮影できるから、だれでも手軽に日常のシーンを残しておける。

 かつて村西とおると雑誌で対談したとき、彼は自分で撮ることの面白さを僕に力説した。僕はピンク映画のころから組んでいたカメラマンにずっと撮影を頼んでいた。だが、アダルトビデオで僕は監督というより質問者みたいな立ち位置なので、自分でカメラを持って語りかければ女の子は自然とカメラ目線になる。そうなれば見ている人も、女の子と向き合えるわけだ。それは確かに面白いと思った。

 しかし、多少なりとも映画畑でメシを食ってきたから、カメラワークの難しさはわかっている。はたして素人の僕で撮れるのか……。オートフォーカスで撮るにしても、そのころのカメラはピンが合うまで時間がかかった。でも、ドキュメンタリー形式なんだから、それもありだなと僕は思い直した。こうして1991年の「素人発情地帯」シリーズから僕自身がカメラを持つことになった。

 そこで今回は、20年撮ってみて気づいたコツというかポイントのいくつかを紹介しようと思う。撮影テクニックについて書くのは初めてだ。すでに玄人はだしの人には無用だろうが、初心者やこれから始める人には少しは役に立つかもしれない。

 〈ポイント1〉3段階で被写体に迫っていく
 第1段階はズームを広角側にいちばん引いた状態(ロングショット)で撮る。こうすると全体像がフレームの中に入りやすい。そのぶん、被写体は遠く、小さくなる。第2段階は被写体に寄っていき(ズームイン)、全身かバストアップくらいまで近づく。第3段階はさらに寄って、顔などのクローズアップ。

 〈ポイント2〉第1段階は“状況”を説明する
 第1段階の「引きの画」というのは、いわば状況説明である。たとえば子どもの運動会ならば、いきなり駈けっこが始まるよりは、会場である校庭全体の様子が先に映っていたほうが、見る側に臨場感が伝わり、感情移入がしやすくなる。子どもたちの元気なざわめき、観客である親たちの声援、空模様や風の強さといった全体の状況がここには入ってくる。ロングショットでめいっぱい引いても校庭すべてが入らない場合や、そこまで引くとあまりにも遠すぎる場合は、カメラをパーンすることでエリア全体をカバーする。パーンとはカメラを横に振ること。ズームはカメラが電動でやってくれるが、パーンは撮影者が自分の体を横に回しながら行なう。ここで気をつけなければならないのは、初心者のパーンはとかく動きが速すぎるという点だ。速いと、そこに貴重な何かがあったとしても見る側には伝わらない。

 〈ポイント3〉第2段階は“関係性”を見せる
 第1段階の「引き」と第3段階の「寄り」の間に位置するこの第2段階では、被写体の関係性が見せられるといい。たとえばひきつづき運動会を例にとれば、駈けっこの前に出場選手たちが整列して順番を待っていたとする。自分の子どもが隣のライバルと何か話しているかもしれない。あるいは先生から競技の説明を受けているかもしれない。たとえ音声が鮮明に拾えなくとも、2人ないし複数の登場人物たちの関係性が見えてくると、映像はがぜん面白くなる。

 〈ポイント4〉第3段階は“内面”を撮る
 第3段階は主人公のクローズアップである。クローズアップとは内面を撮りたいという思いの表われだ。だからカメラは思いっきり寄って顔の表情を狙う。運動会の駈けっこならば何位でゴールしたかも重要だが、たとえ1位になれなくても、そのとき子どもがふと見せる表情は、順位よりも大切な思い出になることがある。目は口ほどにものを言うというけれど、アップで顔の表情を撮る際、感情が表われやすいのは実は口元である。では、その口元にさえ表情の変化がない場合はどうするか? 子どもも大勢の人の前で自分の感情を抑えているかもしれない。僕ならば、とっさに顔以外の場所を探すと思う。たとえばグッと握りしめたこぶし、軽やかな(あるいは重い)足どり、肩を落とした後ろ姿……。なお、クローズアップを撮る場合には、ズームで被写体に寄る。カメラが近づきすぎないほうがいいのだ。すぐ近くからアップを撮ると、顔が多少変形するし、背景にもピンが来てしまって被写体が際立ちにくい。

 〈ポイント5〉見えないからこそ想像をかき立てる
 映像とは、目に見えるものだけでなく、その向こう側にある形のないものまで撮ることができる。ところが、ちょっと裏ワザ的になるが、逆に見えないからこそ見る側のイマジネーションをかき立てるというケースもある。何年か前、娘が孫をつれて遊びに来ていたとき、「そろそろ帰るよ~」と言うので、僕はカメラを向けた。2人は和室にいて、彼らの後ろには障子がある。障子の向こうは庭なので外光で明るい。カメラを構えた僕からは逆光になる。冬だったから帰り支度に、寒くないよう母親がわが子に服を着せてやっている。映っているのはそのシルエット。2人の表情はまったく見えない。だが、そこには親子の気持ちが映っていたと思うのである。


2012年06月08日