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アテナ映像

週刊代々木忠

熱中症といじめ
  友人にKという男がいる。現在68歳。数年前まで下北沢で飲み屋をやっていた。僕ら仲間の溜まり場にもなっていた店である。Kの趣味はウォーキングだが、下北沢の自宅から羽田やお台場、最近はスカイツリーまでも徒歩で出かけ、徒歩で帰ってくる。多い日には50キロ歩くこともあるというのだ。

 先月、Kをまじえ同世代の仲間たちと飲んだとき、「よくそれで熱中症にならないよな?」という話になった。Kはこれまで真夏のウォーキングでも熱中症になったことは一度もないと言う。「子どものころから冷房の効いたところで育ってたら、暑さに対する免疫もないもんな」と誰かが言う。確かに僕らが子どものころには扇風機すらなかった。

 それでいて熱中症、言葉はともかくそれに類する症状がニュースになることはなかったように思う。なかには暑さで倒れた人もいたのだろうが、僕のまわりでは記憶にない。それとも、地球は温暖化しているというし、とりわけ都市部ではヒートアイランド現象によって、昔とは夏の暑さそのものが違うのだろうか。

 下の図は、気象庁のデータをグラフ化したものである。東京の8月の平均気温(一日の平均気温の月平均値)の推移で、明治9年(1876年)から去年(2011年)まで136年分ある。タテ軸が気温(℃)。ヨコ軸が西暦(年)。



TemperatureAverage-100


 折れ線グラフは振幅をくり返しながら、わずかに右肩上がりになっている。年々気温が上昇傾向にあるという証左だろう。しかし、その上がり幅は、136年前と比べても2℃程度。これが熱中症の第一原因とは考えにくい。すると、やはり人間が暑さに対して弱くなっているということだろうか。

 話をKに戻そう。Kには30代と20代の2人の娘がいるが、家族4人で週に4日くらいは夜、外食に出かけると言う。いろいろ美味しい店を見つけては家族を連れていき、食後はそのままカラオケに行ったりしている。そういうことが今なによりも楽しいとKは言う。娘さんはどちらも未婚だが、奥さんも「もう嫁に行かなくていいから」と言うくらい家族の仲がいい。

 あまりに健全なので、聞いていた1人がKに浮いた話を催促する。すると「きっとインポだと思われてるよな、オレは」と彼が切り出す。「女とそういう状況になっても、情が通わない相手だと勃たないんだよ、いくらしゃぶられても……。女房だと勃つんだけどなぁ」

 Kとは長いつきあいだが、彼は頭でっかちなマジメ人間ではない。女もケンカも好きな男である。だが、今はきっと心と体が一致しているのだろう。「情の通わない女とはもうできなくなった」という彼の言葉に、僕らは思わず黙ってうなずいてしまった。

 しかし、ほとんどの人は、したいときにその欲望を無理やり抑え込み、本当はしたくないときにしゃぶったりしごいたりで勃たせてしているケースが多いように思える。それは、心や体よりも頭を優先させた結果でもある。

 本能が正常に機能しているであろうKは、炎天下にウォーキングしているとき、無意識のうちに体が反応して、何らかの涼を取っているのではないかと僕は思った。僕らが子どものころ、空調設備がないぶん、暑さに対する耐性は今の子どもたちより強かったはずである。だがそれ以上に、自分の体の声にしたがい、たとえ親から言われなくとも水を飲み、頭から水をかぶったり、川に飛び込んだり、思い思い勝手に涼を取っていた。

 熱中症とともに近ごろ頻繁に報道されるいじめ問題では、ペナルティを背負いたくないという学校側の隠ぺい体質が露呈している。もしも先生たちの本能に根ざした対人感性が機能していれば、いじめを察知した時点で条件反射的に介入し、止めるなり、いじめている側を処罰するなりしそうなものなのに、と思ってしまう。その意味では、この大人たちもまた人間の根っこの部分が育っていないのである。


(「週刊代々木忠」は2週間、夏休みをいただきます。みなさんに次にお目にかかるのは8月24日(金)になります)
2012年08月03日