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アテナ映像

週刊代々木忠

なぜセックスで痙攣が起きるのか?
  女の子が男優にガンガン突かれて感じてきて、「イクー!」と叫びながら全身を痙攣(けいれん)させることがある。映像的に迫力があるし、いかにもイッてるように見えるんだけど、痙攣までで終わってしまうと、僕は撮りながら「ああ、この子はイキきってないなぁ」と思う。

 そもそもセックスの痙攣は、なぜ起きるのだろう? その根底にあるのは「恐怖」じゃないかと僕は思うのだ。

 18年前、「平成淫女隊」というシリーズに若き片山邦生が出た作品がある。「男優一人死んじゃった」というタイトルで、死んじゃったのが片山。目かくしから入って、見ないところで女の子の人数が増える。イチモツを音をたててしゃぶられながら、乳首を愛撫され、耳元では言葉なぶり。途中で目かくしは外されるものの、そのときには1人が自分の上で腰を使っている。その後も淫女隊3人からの容赦ない責めは続き、片山は「おかしくなる……」と息も絶え絶えにつぶやくが、そのまま全身が硬直してしまい、目も虚ろな放心状態に陥る。

 当時、片山は男優歴4年、出演本数150本。僕の作品はこれが初めてで、「それまでの現場では、女の子をイカせてナンボというのを植えつけられていたし、女の子が乱れるのを見て、内心『どうだ!』という満足感を得ていた」と言う。だからこそ、女の子、それも複数の子から何をされるかわからないという状況に、彼は恐怖を覚える。恐怖は筋肉を硬直させるのである。

 セックスのときの痙攣とは、恐怖によって硬直した筋肉を解きほぐそうとする体のメカニズムではないだろうか。恐怖から身を守るべく筋肉はいったん収縮するが、収縮した筋肉を今度は震えることによって元の状態に戻そうとする。

 女の子がセックスで感じてきて、イキそうになるときに味わう恐怖とは、未知の領域に入っていくことへの怖さだ。撮影後、彼女たちにそのときの様子を訊いてみると、「自分がどうかなっちゃいそう」とか「自分がいなくなるような感じ」と答える子が多い。いずれにせよ、男が射精するのとは次元が違うのである。

 イキそうになったときに、こういった恐怖が湧き起こらなければ痙攣も起きないわけだが、この恐怖自体、過去のトラウマと深く関わっているように思える。僕は事前面接の段階から女の子の話をいろいろ聴いているけれど、トラウマの中身は人それぞれだとしても、セックスで痙攣が起きる子のほとんどは過去に溜め込んだ、つまり表に出したくても出せなかった感情の塊(ブロック)が存在している。

 「平成淫女隊」シリーズでは、片山が出たひとつ前の作品「大失神」に平本一穂が出演している。このとき男優歴9年の彼も、「ある時期まで男優はイカせるもの、いやらしく見せるものだと思っていた」と語っている。「でも、相手あってのセックス。あるとき、好きだという気持ちを込めたら、返ってくる心地よさがわかった」と。

 平本も淫女隊からとことん責められ、そして失神する。失神から覚めて、彼は涙を流す。きっと彼女たちとつながれた涙なのだろう。彼はこんなことを言う。「なんかうれしくて、なんか楽しくて、いいのかなと思ったら泣けてきちゃった……」。同じことをされて、固まる者もいれば、うれしくて泣き出す者もいる。

 セックスで女の子が痙攣を起こしたとき、そのままオーガズムにまで到達してしまう子と痙攣で終わってしまう子の2通りに分かれる。その差はどこにあるかというと、これまで現場で見るかぎり、ポイントは感情を表出できたかどうかにかかっているようだ。

 平本は僕の作品の中で、女の子が感じてくると「もっと声出せー!」とか「いっぱい叫べー!」とか「目を見ろー!」と盛んに言っている。僕が指示してるわけではないが、その場で彼はきっと何かを感じ取っているのだろう。

 もしセックスで彼女が痙攣したら、「イッたんだ」と男は思わないで、「オレを見て一緒にイッて!」や「好きだよ!」など、彼女の感情を誘い出すような言葉をかけてあげるといい。感情が外へ向かう流れができると、それまでトラウマとして溜め込んだ感情のブロックも溶け出す。このとき初めて男と女はつながれる。彼女は痙攣から一気にオーガズムへと昇りつめていけるはずである。
2012年11月02日