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アテナ映像

週刊代々木忠

「大失敗」の向こう側
  前回の話の続きである。「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ10」の撮影をふり返った江里子は、なぜ自分のブログに「大失敗だった」と書いたのか? 

 僕としては、自分の殻を壊したいと思っていた彼女が現場であそこまで行けたのだから、大奮闘ではないかと考えていた。だから、ホントのことを言うと、「はじめてセックスの悦びを知りました」くらいは書いてあるんじゃないかという思いも片方にはあったのだが、現実は違った。

 で、考えてみた。結局のところ、彼女は「H24」を体験したのだろうか? これを検証する際、「体験したのか」「しなかったのか」という二者択一ではなく、「本能」「思考」「感情」に分けて、それぞれがどうだったのかを考えてみる必要がありそうだ。

 撮影の終盤、彼女は男優・森林とのセックスで無意識に腰も使っているから、本能センターは「H24」に達していたと言えるだろう。「すごく幸せだった」という彼女の言葉から、感情センターも「H24」を束の間であったとしても体験したはずである。

 しかし、彼女の中で最も強固な存在である思考センターは、本能センターとも感情センターとも隔絶しているように見える。そう思うひとつの根拠を次に記そう。

 作品の半ば、江里子が愛撫の途中で冷めてしまったので、「じゃあ、休憩にしよう」といったんカメラを止めた。そうして、みんなが雑談している中、江里子と森林が話しているところを、助監督はカメラに収めていた。作品の中でもその光景が差し挟まれているが、二人のやりとりをここにそのまま書き起こしてみる。

 江里子「私もさっきしてもらってて、確かに指で触られたときとかは気持ちよかったんだけど、『で?』みたいな感じになってしまうよね」
 森林「だったら、あの涙は何だったの?」
 江里子「いつ泣いたっけ?」
 森林「覚えてない?」
 江里子「ああ、泣いたね、そういえば。いつ泣いたっけ? なんだろうな? なんかそんとき覚えとったけど、今忘れてしまった」

 江里子にとっては、自分の泣いたこともまるで他人事である。自分が泣いた場合、ふつうはそれを鮮明に覚えているものだ。ああ、泣いちゃった、恥ずかしいなぁとか、本来はそういった感情が出てくるはずだが、江里子は出てこない。なぜ泣いたのかさえ、本人はよくわかっていない。

 このように、彼女が泣いたという行為ひとつをとってみても、そのときの「感情」を「思考」は記憶しようとしていない。つまり、感情ベースと思考ベースとの間には埋めがたい距離がある。これがタテ軸の距離である。「感情」と「思考」の関係性と同様に、休憩後ふたたび森林と抱き合い、彼の優しさに包まれ、「本能」が味わった「H24」も、彼女の「思考」はそれを認めていないのである。

 江里子は子どもの頃から運動はしておらず、でもそのぶん知識は豊富で、典型的な思考ベースの人間である。だから、セックスで乱れることを、彼女の「思考」は許さない。なぜならば、「H24」に行って乱れるとは、自分をこれまで支えてきたもの、自分を自分としてあらしめてきたものを、ある意味、捨てるに等しいわけだから。

 たとえば思考ベース人間は、本能ベース人間を見たときに「なんと無知な」と思う。江里子の中でも、「思考」は「本能」を一段下のものととらえていただろう。だから、みすみす一段下に自分が落ちることなどできないのである。

 撮影の終盤、森林とのセックスにおいても「思考」が"手放しの受容"(明け渡し)を拒絶しなければ、「本能」「思考」「感情」というトータルで「H24」に行ったはずだが、「思考」だけは最後までそれに抵抗し、ずっと「H48」のままだった。

 前々回の話にも書いたが、「H24」と「H48」では処理能力のスピードが違うので、「H48」の側からは「H24」で何が起こっているのかわからない。自分の蓄積した知識の中にも、それを読み解くデータがないとなれば、その理解不能さ加減が他人事として処理され、時間とともに記憶の表層からは消えていく。これが「大失敗だった」と江里子(の思考)がブログに書いた真相ではないだろうか。

 しかし、それでも「本能」は"快"を求めつづける。その「思考」と「本能」の狭間で、彼女の「感情」はいつも苦しんでいたのではないかと僕は思うのだ。もっとも、江里子のようなケースはなにも特異な例ではない。現代社会は思考ベース人間を育てよう育てようとしているように僕には思えてならない。

 そこで次回は、東京大学を卒業し、今は大学で教鞭をとる、ある女性のエピソードを介して、「本能」「思考」「感情」をタテ軸で解いてみたい。


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「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ10」
のパッケージ色校。リリースは7月11日


2009年05月08日