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アテナ映像

週刊代々木忠

秋の夜長
  30年ほど前は、仕事が一段落ついた9時10時からでも、友人たちと飲みに出かけた。友人の多くが鬼籍に入ったのもあり、今は仕事帰りに誰かと飲みに行くことはめったにない。仕事自体も昔のように深夜や明け方までぶっ通しでやることはなくなった。

 その代わり、夜、僕は自分の時間を持てるようになった。日によって帰宅時間は前後するけれど、帰って、風呂に入って、食事が終わるのがだいたい10時前後である。それから僕は2匹の犬たちと一緒に庭に出る。

 広い庭ではないが、庭を囲むようにウッドデッキが家から張り出している。そこなら犬の足もそんなに汚れない。僕もウッドデッキにそのまま座り込む。で、何をするかというと、特に何をするというのではなく、犬と戯れたり、月や星を眺めたり、気が向けばストレッチや腹式呼吸をしたり……。

 話は変わるが、わが国のネット依存者は、中高生で50万人以上、成人で270万人以上と推計されている。現代はネット社会だから……などと言ってはいられない状況がある。

 ネット依存が引き起こすのは、睡眠障害やうつ症状といったメンタルのトラブルだけではない。視力や筋力の低下、骨粗鬆症、長時間のオンラインゲームでは脳血栓や心不全で急死するケースまであるという。

 僕はネット依存ではないけれど、1日じゅうパソコンでビデオの編集をしていると、これは体に悪いなぁと実感する。じっと同じ姿勢のまま動かず、長時間同じことをしているのは、ネット依存者と共通するものがある。

 しかも、事務所を出たとき意識を切り替えたつもりでも、頭の中には編集の仕事が残っている。考えていないようで、まだ考えている。つまり、“今ここ”にいない状態なのである。

 それに対して、庭で犬と遊んでいるとき、ストレッチをしたり、腹式呼吸をしているとき、僕は“今ここ”にいる。加えて、月や星という遠くを見ることは、パソコンのモニターという近くばかりを見ていた眼球を緩めるというか、休めているのだ。

 夜のすごし方として、僕は自分の部屋で民族音楽を聴くのも好きである。YouTube で検索すれば、いろいろな民族音楽に出会える。たとえば今気に入っているのは「FOLI」。見ていただければわかるが、ここには生活があり、その生々しさの中に僕は懐かしさを感じる。

 ずっと昔、僕らの祖先が生活を始めたころ、やはりそこには音があったはずだ。音楽のリズムというのは、こういうところから生まれたんだなぁと思う。民族音楽を聴いていると、リズムに合わせて体も動いてくる。そうして自分の中で滞(とどこお)っている何かが中和されていくのを感じるのである。

 部屋でテレビを見る夜もある。ケーブルテレビに「アニマルプラネット」というチャンネルがある。世界最大級の動物エンターテインメントチャンネルだが、なかでも野生動物ものをよく見る。

 たとえば、草食動物はエサとなる草を求めて3000キロも旅をする。その途中で、弱いものは肉食獣に食われ、ついてこられないものは群れから置き去りにされる。そこには「生きる・食べる・死ぬ」が記録されている。

 見ていると、僕ら人間が彼らの世界からいかに遠く離れてしまったかと思わざるを得ない。出過ぎてしまったと言ってもいいかもしれない。

 庭も、民族音楽も、野生動物も、共通するのは自然である。日々なんらかの形で自然にふれることで、僕は安心できるし、落ち着くのだ。それがいつの頃からか、心地よい自分の時間になった。歳をとったということかもしれないけれど……。



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2013年10月18日