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アテナ映像

週刊代々木忠

深夜にかかってきた電話
  「見たで。柏木みな、手ぇつけとるやろ!」

 午前1時、突然ケータイが鳴り出し、液晶画面には知らない番号。ふだんなら絶対に取らない。でも、その夜はなぜか電話に出ていた。そしたら、ドスの利いた声で、このセリフである。

 電話の主を明かす前に、知らない人のために「柏木みな」を説明しておいたほうがいいだろう。30歳の回春エステ嬢で、最初「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」に出演し、その後、彼女を軸にして僕は「ザッツ回春エロエステ」という新シリーズを立ち上げた。現在3タイトルが出ている。

 電話の主は、この柏木を、監督である僕がやっちゃってるだろうと言っているわけだ。それも唐突に、そして断定的に。やっているのか、いないのかは、僕がいちばんよくわかっている。でも、相手が誰なのかわからない。

 僕が黙っていると、電話の向こうでは引きつづき「あれは魔性の女や。手ぇつけたらあかんで!」などと言っている。相手は、僕の知ってるケータイ番号からではなく、自宅の電話からかけてきた笑福亭鶴瓶師匠だった。「手ぇつけとるやろ?」と再び言うので、「いや、つけてない」と僕はきっぱり言った。「それはやっぱり商品だし、オレはオレで、ちゃんとわきまえてるつもりだから」と。

 鶴瓶師匠は「ザ・オナニー」の頃から僕の作品をずっと見てくれている。今から8年前、あるテレビ番組でご一緒し、その後も、師匠の番組に2回呼んでもらって、「セックスとは何か」について語り合った。だから、師匠は僕のことをちゃんとわかってくれている人だと思っている。

 そんな人物からの疑惑であり、忠告なのだ。テレビにも映画にも忙しい師匠が、なぜわざわざこんな深夜に電話をくれて、「手をつけた、つけない」の話をしているのか? 師匠の話を聞いていると、どうも僕にそういうことをしてほしくないと強く思っているようなのだ。

 これまでの作品では、そんな疑惑も忠告もなかったのに、なぜ柏木なのか? 思い当たるフシがなくもない。実はうちの女性スタッフからも、柏木に対する僕の態度が「いつもと違う」なんて言われていたから。

 最初に出演した「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」で、柏木は潮を吹き、イッたと自分で言っていた。だが、本当はイク直前に男優を突き飛ばして潮を吹いているのであって、イッてはいない。しかし、それをあえて彼女に告げず、この子が今後どう変わっていくのか見たくて、彼女が主演のシリーズを立ち上げたのだ。シリーズとして成功するかしないかが掛かっているだけに、僕は真剣だったし、撮る対象としての彼女は魅力的だった。

 だから鶴瓶師匠も、うちの女性スタッフ同様、いつもと違う僕の変化を作品から読み取り、「こりゃ、いかん」と思ってくれたのではないだろうか。そしてそれは、とりもなおさず師匠自身が自らを厳しく律していることの証左ではないかと思った。「人の道を過(あやま)つな」という、厳しいはずの声なき声は、逆に僕をあたたかく包み込んでしまう。師匠の人間的な魅力は、テレビからも充分に伝わってくるが、実際に話をしていると、慈悲心のようなものまで感じるのである。

 僕は心地よくなり、もらった電話でありながら、話はどんどん長くなっていった。そのなかで、師匠はこんなことも言った。「最近、自分を消しとるな......」。僕が「なんでそう思うの?」と訊くと、「ワシもあの番組(鶴瓶の家族に乾杯)のとき、できるだけ自分消して、地元の人たちの生き方にスポット当てよう思うてやっとるから、わかるんやわ」と言う。

 僕はふと、この人は「今の日本で何が起き、人々が何を感じ、何を求めているのか」深いところでわかっているんだと思った。でも、そうでありながら、決して世の中を斬ったりはしない。

 師匠から電話が来た日は、会社でカップル限定の試写会を行なっていた。2組のカップルが参加された。1組は愛知県からいらした、ともに会社社長のカップル。もう1組は神奈川県からいらした、ご主人がセラピストのカップル。

 試写作品は、以前このブログでも紹介した新田利恵のデビュー作「お固い女性がビデオに出る理由 一度でいいから知らない人と...29歳主婦」。参加された2人の女性は、試写中に涙を流されたようだ。そして、みなさんに共通している思いは、今の日本の状況をとても心配しているということだった。

 水素論を使ってオーガズムの必要性を語り合ったが、全員の意識レベルが高く、「H24」での会話となった。だから僕も「H24」の意識を保ったまま、家路についたのである。

 ふだんなら出るはずのない電話に出たのも、今考えると僕があのとき「H24」でいたから取った行動のように思える。「でも、ワシ、絶対出る思うとったから」と言う師匠も同じ「H24」だからつながったのだと。


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寝るまでのひととき、くつろいでいると、ケータイが鳴り出した。

2009年05月22日