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アテナ映像

週刊代々木忠

信頼する医師からの警鐘
  股関節の矯正に通って丸9年になる。以前にも書いたけれど、僕はうつの真っただ中で食欲もなく、エンシュア・リキッドという液体栄養だけで生かされていた。いよいよ自分の墓も買って、あと半年生きられるかなぁと思っていた矢先である。友人のすすめで行った先が、歯科医院だった。

 「なんで歯医者に!?」と最初は思ったが、言われるまま股関節の施術を受け、その帰りには、忘れて久しい空腹感を覚えた。驚きだった。ここから僕のうつは快方へと向かったのだ。つい先日、そのH先生から「ブログで多くの人に伝えてほしい」と頼まれたことがある。

 それは「インプラント」についてである。歯科の治療法の一種「インプラント」は、ほとんどの人が一度は耳にしているに違いない。それほどこの治療法は近年流行り、それに比例してトラブルも急増している。「歯医者には通ってないし、自分は関係ない」と思う人もいるだろうが、いつなんどき歯が痛くなるかもしれないし、そのとき自分が、あるいは家族が、友人が、歯医者からインプラントをすすめられないとも限らない。

 まず「インプラント」とはどんな治療法なのかだが、簡単にいうと、自分の歯の根っこの代わりに金属(チタンやチタン合金)の支柱を上顎や下顎の骨に直接埋め込む。そして埋め込んだ支柱を土台にして義歯を作成する。これだけ聞けば、歯の根っこ、つまり歯根まで失った人には朗報ともとれる。

 だが、H先生は言う。「インプラントは、私としては到底おすすめできない」と。実際ネットを開くと、インプラントのトラブルはこれでもかと言うほど出てくる。

 その第一が、医者の技量の問題だ。たとえば上顎の場合、骨が薄いのでインプラントが突き抜けてしまい、激しい痛みに襲われたり、下顎の場合は骨の中を通る神経を傷つけてしまったり……。手術中に顎の動脈が切れて、患者が死亡する事故も起きている。

 インプラントは口腔外科的な技術が要求されるにもかかわらず、なかには週末にインプラント(人工歯根)メーカーの講習を何回か受けただけで、人体実験さながら本番に臨む歯医者もいるというから恐ろしい。では、なぜそこまで今の歯科医はインプラントをやりたがるのか?

 歯科治療の発達と口腔ケアの進歩とがあいまって、人々の歯の状態が昔に比べてよくなり、患者数が減っているにもかかわらず、歯科医の数は年々増えているという現実がある。生き残りも大変で、もはや保険診療だけでは歯科医院の経営が厳しくなり、そこに来て、インプラントは保険がきかず、価格は歯医者が決められるという経営面での利点がある。

 なかには「インプラントにしたほうが長持ちするから」と、抜く必要のない歯まで抜かれたという例もあれば、全部で数千万円かかったという話もある。また、歯医者の激戦区ほど、自称「インプラント専門医」が増えるという笑えない話も……。

 「顎の骨をいじるのは体によくない」と言うH先生は、インプラントが上顎の骨を突き抜けたり、下顎の神経を傷つけずに、手術自体うまくいったとしても、やはりやらないほうがいい理由をこう語った。

 歯根と骨の間には「歯根膜」というのがあって、歯と骨をつなぐとともに、硬いものを強く噛んでも、そのショックがダイレクトに骨に伝わらないよう緩衝地帯の役目を果たしている。ところが、骨に人工歯根を立てるインプラントでは、この緩衝地帯がない。すると、硬いものを噛んだときの力は、上顎・下顎の骨に直接伝わる。それが骨の炎症を引き起こし、細菌に感染すれば、重篤な状態に至るケースもあるという。

 この噛むときのショックを和らげるために、とりわけ奥歯の当たりをソフトにしようと、噛み合わせる力を弱くする。けれども、これは骨格にはよけいに悪い。奥歯でうまく噛めないと、おのずと前のほうで噛むようになり、下顎が出てくる。この顎関節のズレが、肩の関節、股関節、膝関節、足首の関節……と全体に影響を与え、人の骨格を変えてしまう。歪んだ骨格は気血の流れを悪くし、各神経をも圧迫して、内臓の疾患を誘発する。すなわち顎関節の異常は全身に影響を及ぼすのである。

 股関節を矯正してもらう過程で、舌根が引っ張られたり、背骨を意識したり、肛門の筋肉が引っ張られたり、歩き方が変わったり、結局、体は全部つながっており、ひとつが変われば他にも影響を与えるということを、僕は身をもって体験してきた。

 そんな施術を多くの人にしてきて、主治医さえ匙を投げた人々の病気も治してきたH先生だからこそ、インプラントが単に口腔内だけの問題ではなく、万病のもととなり、寿命を縮めてしまうと訴えたかったに違いない。みなさんも、ぜひ気をつけていただきたい。




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2014年09月19日