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アテナ映像

週刊代々木忠

アダルトビデオの未来
  イッたことのない女性が、目を見なきゃセックスできない男と出会い、イキそうになる。しかし、彼女の異変に気づいた男が「大丈夫!?」と呼び戻してしまう。「放っておいてくれたらイケたのに」と彼女。男のほうはといえば「これで次からはイカせられる!」と何かを掴んだようだ。けれども、その後、彼と何回セックスしても彼女がイクことはなかった。

 これは「愛と性の相談室」に来られた女性の話である。「アダルトビデオの未来」と何の関係があるのかと思われるかもしれないが、共通するのは“知ってしまったがゆえの落とし穴”である。

 アダルトビデオも三十数年を経て、監督も男優も、もちろんメーカーも、どういうふうにしたらウケるのか、売れるのか、ということを知ってしまったように思える。

 それはかつてピンク映画がたどった道でもある。映画の斜陽期、それまでの様式美(たとえばガラス越しの接吻とか、抱き合ってベッドに倒れ込んだら花びらが散るとか)に疑問を抱く監督たち俳優たちがいた。「人間の性はそんな綺麗ごとじゃ表現できない」と。

 そうして新たな性表現が誕生する。彼らは決して性だけを描きたかったわけではない。たまたま嘘のつけない映画屋たちだったのだ。ただ、彼らの思惑がどうあれ、映画館には観客が戻ってきた。場末の二番館・三番館もピンク映画に切り替えられ、映画業界は息を吹き返そうとしていた。

 ピンクが儲かるとなれば、制作プロダクション、メーカー、配給会社が乱立する。製作にカネを出している側は、当然口も出してくる。「オープニングから何分以内に濡れ場を」とか「濡れ場は最低でも何カ所ほしい」とか。「客は濡れ場を見に来ている。ならば濡れ場を増やせば、もっと来るだろう」というわけである。さらには「ポスターはより煽情的なポーズを」「内容はもっともっと過激に」と。様式美という型から自由になるための方法論が、いつしか新たな型になろうとしていた。

 ストリップが廃(すた)れていったのも、似たような道程だ。「額縁ショー」から始まったストリップは、当初、上半身しか見せなかった。僕が興行で全国を回っていた頃も、ショーの最後の最後に踊り子が下をはずしたところで暗転となる。毛がチラッと見えるか見えないか。それでも会場は連夜満席になった。今にして思えば、お客さんのほうもウブだったのだ。

 それが次第に「はい、どうぞ」と開いて見せるようになり、次にはお客をステージに上げるようになった。獣姦を見せたり……。刺激はどんどんエスカレートしていった。ビデオや映画で売れている女の子が持て囃されたこともある。だが、いずれにしても見慣れてしまえばもはや刺激ではなくなり、このシーソーゲームにはどこまで行っても満足というゴールがない。

 僕がビデオを撮りはじめたとき、自分がドキドキするものを撮りたいという思いだけで、売れるかどうかなど考える余裕すらなかった。マーケットも確立されていないのだから、博打もいいとこである。

 ところが、いったんビデオが儲かるとなれば、そこに異業種からもたくさんの作り手が参入してくる。どんな作品がウケるのか。売れる作品にするためにはどう作ればいいのか。それが検討され、ノウハウが蓄積されてゆく。でもそれは型であり、結局、似たような作品がたくさんできあがることになる。

 「もっと可愛い子を!」「もっと刺激的な内容を!」……アダルトビデオは今もその延長線上にある。そのうえ「ヌケるか、ヌケないか」という、とても狭いところに閉じ込められているように僕には見える。そうして、すでに飽きられているのだ。

 ネットの動画配信という売り方も、人目が気になるアダルトビデオにとって、各メーカーとも、またとない朗報に思えたはずだ。ところが、今はネットで見られる無料動画で事足りる人々が増えている。とくに若い層にとって、AVは借りたり買ったりするものではなく、タダで見るのがもはやスタンダードだろう。しかも、そこで見られる映像は、無修正もより取り見取りである。

 もともと計算のないところに新しいマーケットが生まれ、人々が集まり、売るための計算が働き、成長とともに衰退が始まるという趨勢は、なにもアダルトに限った話ではないのかもしれない。

 衰退するAV業界が、もし活気を取り戻す術(すべ)があるとすれば、才能のある監督の個性を活かせるメーカーや、カリスマ性を持った女優や男優の出現を待つしかないだろう。とはいえ、アダルトに出ている女の子のなかには、今や見た目もアイドルに負けないくらいの子がごろごろいる。そういう意味では、もう出尽くした、やり尽くした感も正直否めない。

 創造のための破壊でも起きないかぎり、この流れは変わらない。今後もアダルトビデオはなくなりこそしないだろうが、作品ではなく商品が主流のアメリカンポルノになっていくだろう。

 相手の体を使ったオナニーのようなセックスをする男が育ち、心を通わすセックスをする男はいなくなる……このままじゃマズイよなぁと、業界の隅のほうで主流とは程遠い作品を僕は今も撮りつづけている。でも、じつはそれが僕自身いちばん充実して何よりワクワクするんだけど。





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2014年10月31日