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アテナ映像

週刊代々木忠

生後2カ月の笑顔
  ちょうど1年前、上の娘とその息子2人(僕にとっては孫だが)が東京に帰ってきた。2年半の間、夫の転勤にともない北海道に行っていたのだ。夫はまだしばらく北海道だが、上の子が小学校入学、下のが幼稚園入園というタイミングに合わせて一足早く戻ったのである。

 それまでも夏休み、正月、春休みには帰ってきていたし、東京のマンションは友人に貸していたから、わが家に寝泊まりした。上の孫は僕に懐(なつ)いていて、よく祖師谷公園に2人で出かけたものである。北海道に帰るとき羽田空港まで送っていくと、見えなくなるまで何度もふり返って手を振る姿が目に浮かぶ。

 こちらに戻ってくるとなれば、元いたマンションに暮らすことになるが、わが家からはスープが冷えてもまぁ飲める程度には近い。そうなれば、今まで以上に孫と遊ぶ時間も増えるだろう、と僕は思っていた。ところがである。小学校に上がった孫には仲のいい友達ができ、水泳教室など習い事も始めたものだから、ほとんどわが家には来なくなった。

 あてが外れた僕は寂しいなぁと内心思っていたのだが、一昨年から同居を始めた下の娘がこの1月に男の子を出産した。初めての孫ではないし、これまで娘2人を育ててはきたものの、これがまったく違うのである。

 どう違うのかといえば、上の娘の孫は、近くとはいえ一緒に暮らしてはいなかった。だから、日々の成長を目の当たりにしてはいないのだ。娘の場合は目の当たりにしてきたわけだが、向き合い方が違う。

 女房が言った。「夢中だったから、こんなふうに見られなかったわよね」。若いときは、きっと今みたいに余裕がなかったのだろう。たとえば、ちょっと顔色が悪かったりしたら、病院に行ったほうがいいかなぁと考える。最初の子を4日で亡くした新米の親だから、過剰に反応していたところもあったかもしれない。それが、2人の子を育て上げたという経験も手伝ってか、今は余裕をもって見られるのである。

 同じ屋根の下に暮らしているから、娘夫婦とは日々言葉を交わしてきたけれど、孫が生まれるとその会話量が比較にならないほど増えた。話題はむろん孫についてである。「きょうはどうしてた?」とか、「今の子は成長が早いなぁ」とか。「お父さんにお馬さん(ごっこ)してもらったよね」と幼い頃の記憶もよみがえる。

 外孫は、自分の娘が産んだ子なので気兼ねがないとよくいわれる。内孫だと、自分の息子の子ではあるが、お嫁さんに遠慮があるという意味である。たしかに母と子の結びつきのほうが父と子よりも強い。とりわけ赤ん坊の場合は。ただし、外孫にはそうそう会えないという一面もある。

 ところが、今回は気兼ねがないうえに毎日会えるのだ。僕ら夫婦にとってはこのうえなくラッキーな状況である。「通い婚」の話で書いたが、産んだ娘にとっても自分の実家だから同様に気兼ねはないだろう。それに困ったり迷ったりしたときには、母親という子育ての先輩が24時間ついている。

 僕が帰宅するのはだいたい9時すぎである。そのとき孫が起きていれば娘が2階から抱いて降りてきてくれる。顔を見て語りかけると、孫が笑う。生後2カ月のなんの屈託もない笑顔。一日の疲れやストレスが、その笑顔だけでスーッと溶けていくのを感じる。

 「マンションの頭金が貯まるまで」と言って住みはじめた娘夫婦。だから、初めから期限つきの同居なのだが、孫の笑顔を見ていると、このまま住みつづけてくれたらなぁ……とついつい思ってしまう自分がいる。






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2015年03月27日