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アテナ映像

週刊代々木忠

カリフラワー
  このところ病気ネタが多くて申し訳ないと思いつつ、今回もまた――。僕は膀胱がんである。耳は聞こえなくなるわ、息は切れるわ……と来て、ついにがんなのかと思われる方もいるだろう。

 でも、がんが見つかったのは8年前のこと。2007年10月のとある金曜の晩、おしっこをしたら便器が真っ赤になった。痛みはない。土曜・日曜も依然として真っ赤。尿に混じってるとはいえ、こんなにたくさん出血したら体じゅうの血がなくなっちゃうんじゃないかというくらい出てくる。けれども病院はやってない。月曜になればと思っていたが、月曜の朝、出血は嘘のように止まっていた。いったい何だったのか?

 当時はまだうつの最中だった。かかりつけの心療内科で、畑違いと知りつつも血尿のことを話すと、超音波エコーで膀胱を診てくれた。しかし、主治医はなにも言わない。やはり心療内科で膀胱はわからないか……と思ったのだが、次に診察に行った際、「とりあえず紹介状を書いておいたので、泌尿器科で検査してもらったらどうでしょう」と言う。

 あれ以来出血もないし、どうしようかなとは思ったものの、結局、紹介状にある病院の泌尿器科に行った。診察室に入って症状を話すと、「痛みはぜんぜんなかっただろ?」と医者が親しげに訊いてくる。「ぜんぜんなかったです」。「ああ、やっぱりな……」そこまで言って口ごもる。

 しばしの沈黙。なんとなくヤな予感。「『やっぱりな』というのはどういうことですか? ひょっとして、がんですか?」。すると医者は「そうだよ」と事もなげに言ってのける。そして「とりあえず覗いてみましょう」と。

 その日の午後、検査室で僕は素っ裸の上に検査着をまとい、分娩台のようなところに乗った。両足を上げた状態で固定される。足ばかりでなく、胴も手も固定されて動かない。だが、ずっとアダルトを撮ってきたから、これしきのことでは動じない、わけがない。

 いったい何をしようってのか!? 内視鏡が用意される。ええ~、まさかこれを入れるの? 尿道から? 無理でしょ。だってボールペンくらいの太さがあるじゃん。

 僕の胸中などおかまいなしに、ボールペン、いや内視鏡がオチンチンの先から入ってくる。このまま? 麻酔しないの!? 全神経覚醒のまま、そいつは容赦なく尿道をズタズタにしながら逆行し、膀胱内まで侵入してくる。内視鏡をグリグリしながら医者は「モニター見て!」と言ってるが、こっちは痛みでそれどころじゃない。

 「いやぁ、いっぱいあるなぁ」とか言っている。チラッと見ると、小さなカリフラワーみたいなのがあちこちに……。「膀胱がんに間違いないね」ということで、手術が翌月に決まった。

 膀胱がんには「浸潤(しんじゅん)性」と「表在(ひょうざい)性」の2種類がある。浸潤性は膀胱の壁に浸み込み、進行が早く、他の臓器にも転移する。一方、表在性は膀胱の壁に発育するが、浸潤はせず、転移もしない。僕はこの表在性のほうだった。なので、がんと言ってもさほど深刻ではない。まぁ、ポリープみたいなもんだろうと思った。

 手術ではまた尿道に内視鏡(&電気メス)を入れられるが、今度は麻酔医もついて下半身麻酔の状態だから痛みはない。だから、余裕でモニターを見ていた。小さなカリフラワーは全部で15個か16個あった。それを電気メスで順に切り取ってゆく。こちらも痛みはない。

 検査もそうだが、手術でも大変なのは術後の排尿である。トイレに行くのが憂鬱になるくらい痛い。尿道は満身創痍なのだ。鎮痛薬はもらっているけれど、当分の間はおしっこしながら身悶える。

 表在性膀胱がんは再発の可能性が高い。切り取ったカリフラワーがまた芽を出す。そうすると同じ手術で切除することになる。僕の場合はとりわけ数が多くて、完全に取り切れなかったのもあるようだから、なおさらである。

 こうして3カ月に1度の検査が始まった(ちなみにこの検査は尿検査。結果の数値が上がっていれば内視鏡を入れての検査になる)。だが、3年が過ぎても数値は上がらない。つまり、カリフラワーは育っていないのだ。危険水域を越えたのか、それ以降、検査が半年に1度となる。

 そして4年、5年が経っても、相変わらず数値は上がってこなかった。医者も「不思議だねぇ。遅くても3年後に再手術というのがふつうなんだけど……」なんて言っている。もう何年間も股間節の矯正を続けていて、自然治癒力も高まっているはずだから、案外このまま再発しないのかも……と僕は思った。

 それが今年の3月、ふたたび便器が真っ赤になった。膀胱がんが再発したのだった――。

(つづく)
2015年05月08日