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アテナ映像

週刊代々木忠

動き出した若者たち
  戦時中、子ども心にも憲兵は怖いなと思った。もともとは軍隊内の秩序維持を任務としていた憲兵は、次第に権限を拡大し、一般市民の思想弾圧にも乗り出した。ひとたび「あいつは赤だ」と噂が立てば、憲兵隊がやってきて問答無用でしょっぴいていったものだ。その空気感は北朝鮮と大差なかったかもしれない。

 戦後をずっと生きてきて、今ほど戦争への危うさを感じたことはない。あの頃に通じる空気感が臭ってくるのである。衆院憲法審査会にて憲法学者が安保関連法案を「違憲」と指摘したにもかかわらず無視したり、自民党勉強会にて安保関連法案に対する国民の理解が進んでいないとなれば「広告主やスポンサーを通じてマスメディアを報道規制すべき」という意見が出たり……。

 安倍政権の強引さが露呈している。自民党から民主党に政権が変わったのは記憶に新しい。結果やっぱ民主党じゃダメだなと多くの人が思ったわけだが、ただ、民主党にエグさはなかった。それがまた自民党に戻り、ここに来てエグさは一際目立っている。

 なにも政治への不信は今に始まったことではない。しかし、単なる不信や失望では済まされない「危機感」が若者たちを動かしている。たとえば先月27日、渋谷のハチ公前には数千人の若者が集まった。長いこと渋谷界隈に事務所を置いているけれど、その間、政治的活動にあれだけの若者が集まったことがあっただろうか。ワールドカップでもないのに……。

 集会を主催したのはSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)。学生の団体が同じ若者たちに向けて「戦争法案反対」をアピールした。マイクロバスの上の演台には「WAR IS OVER IF YOU WANT IT(あなたが望めば戦争は終わる)」の幕。手に持つプラカードにも「私たちは誰も戦争なんて望んでいません」「本当に止める」「憲法まもれ!!」「アンチファシズム」「I am not ABE」「STOP! 安倍政権」などなど……。

 この日、SEALDsのメンバー以外にも、菅直人(民主党)、志位和夫(共産党)、初鹿明博(維新の党)、山本太郎(生活の党)など野党の議員たちが演壇に上がった。山本太郎は「戦争法案には企業の力が動いてる」と言う。「安倍政権が武器輸出三原則を事実上解禁してしまった」と。これは企業を儲けさせるために経団連が出したリクエストであり、「イージス艦1隻造るのに2500社、戦車1輌に1300社、パトリオットミサイルシステムに1200社、戦闘機1機に1100社の国内企業が関わる」のだと。

 しかし、これで雇用されている側が潤うのか、雇用枠が拡大するのかといえばNOで、とりわけ若者たちの多くは非正規労働者として企業に搾取されている。にもかかわらず、戦争法案が成立し、そののち徴兵制でも布かれたら、若者たちが真っ先に戦争に行かなければならなくなる。彼らが「ふざけんじゃねえ」と思ったとしても無理からぬことだろう。

 一方、演台となったマイクロバスが実は共産党系列のものだというネットの書き込みをけっこう見受けた。「裏で糸を引いているのは共産党だから騙されるな」とでも言いたげなSEALDs叩きである。共産党とのつながりがあろうがなかろうが、集まった若者たちの目がニュートラルであることには変わりがないと僕は思う。そこには利権集団に屈するようなシガラミがそもそもないからだ。

 それにひきかえ、当日の夜7時、僕はNHKのニュースを見ていたのだけれど、香港のデモは放送しても渋谷の集会は最後まで無視だった。これだけの動きがありながら、まったくふれないという不自然さである。

 政治の舵取りが危ない方へ向かおうとしている時代、それを変えてゆく若者たちの行動に、僕は今後も注目していきたい。
2015年07月10日