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アテナ映像

週刊代々木忠

人を愛せない
  「愛と性の相談室」に見えた女性の話である。この方の相談映像は来月アップする予定だが、一足先にそのちょっと切ない話をご紹介する。送られてきた相談依頼の文面はこう始まっていた。「人を愛する経験がしたいです」。彼女は結婚しており、小さな子どもが2人いる。

 彼女は夫ばかりか、わが子を愛している実感さえないのである。上の子が甘えてくると素直に抱きしめられない。そして、なぜ子どもの気持ちに応えてあげられないのかと葛藤する。ご主人に対しても、僕の本を読んで「目を見よう」とはするものの、見ているのが途中でつらくなるという。きっと素直になることに抵抗があるのだろうと僕は思った。

 ご主人とのセックスについて訊くと「クリではイケるけど、挿入されたら、私の中ではもう終わりです」と彼女。「あとは夫がイクのを待つだけです」と。イケないのも、子どもを愛せないのも、そしてご主人に心を開けないのも、根っこは過去にあるのだろう。

 なぜなら、お母さんたち7人くらいで飲み会をしたとき、たまたまセックスの話になり、彼女が「イケない」と言ったら「ああ、可哀想に」とみんなから言われたそうだ。彼女は地方在住だが、性の話までできるコミュニティを持っており、そこで受け入れられているのがよくわかった。ならば、問題は今にあるのではない。

 過去にさかのぼり、問題の根っこを探すにあたって、僕は催淫テープを聴いてみることを提案した。トランスに入ればきっと何かが見えてくる。聴き終えた彼女がこんなことを言った。

 「思い出したのが、高校のとき、私、『うるさい!』って言われたんですよね」。それはセックスの最中、相手からぶつけられた言葉だった。それまで自分の喘ぎ声など気にもしていなかったが、男から面と向かって言われれば恥ずかしいし、それ以上にショックだったのだ。同じ相手と次にしたとき、彼女はぜんぜん濡れなかった。すると、その男は自分の指を舐めて彼女のアソコをさわりながら「めんどくさい!」と言ったそうである。

 思い出したことを僕に話していくなかで、彼女は自分が心を閉じてしまったキッカケに自ら気づいていく。

 上の子の卒園式のとき、ママ友からは「バスタオルを持っていったほうがいいよ」と言われた。「それほど泣くから」と。ところが、彼女は一滴の涙もこぼれなかった。まわりのお母さんたちはみんな泣いていたというのに。

 人生でいちばん多感なときに投げつけられた言葉が感情にフタをさせ、心でつながろうとしてこなかった結果が、わが子にまで及んでいる。「人を愛する経験がしたいです」。それは長いあいだ閉ざされてきた心の叫びではなかったのか。

 傷ついたかつての自分を癒してあげられるのは、今の自分しかいない。しかし、自ら気づいた彼女は変わっていくだろう。住んでいる地域がまだ生きている。ママ友をはじめコミュニティに居場所がある。彼女を支える土台は健在なのだ。

 帰りがけ、彼女がコートを羽織ったときだった。「うるさい!」と言われる前、別の男性としたセックスのことで質問をしてきた。「一度『すごくいい!』って言われたことがあるんですけど、それはやっぱり相手の気持ちが入ってくれてたからですかね?」。「それは、あなたの気持ちが入ってたから」と僕は答えた。「あ、そうかぁ」と彼女の表情がパッと明るくなった。きっと彼女は何かをつかんだのだろうと思った。
2016年06月17日