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アテナ映像

週刊代々木忠

世の中を変えていくのは若者だけではない
  二十数年前、面識のない女性から講演依頼の話が舞い込んだ。場所は山口県下関市。ちょうど福岡の友人に会いに行く予定があり、また途中広島にも用事があったから、彼女にも一度会ってみることにした。

 彼女こと大垰(おおたお)恵子さんは、僕が出たテレビ番組をたまたま見たらしい。それで、アダルトの監督をやっているのに、こんなことを言う人がいるんだと印象に残ったようだ。それから幾日も経たないうちに拙著『オープン・ハート』を偶然本屋で見つけ、「これ、あの人だ!」と。読んでみると、ぜひとも話を聞いてみたいし、みんなとも分け合いたいと思ったそうである。

 大垰さんと会ってみて、これも何かの縁だろうと僕は感じていた。「講演はやらないけれど、膝を突き合わせてお互いに語り合うような形なら」ということで話はまとまった。

 下関の会以降、大垰さんに再会したのはずいぶん後になってからである。おそらくあれから十数年ぶりだったが、彼女がご主人を亡くして間もない頃で、上京したからと事務所までいらした。そして今年、また何年かぶりにお会いした。聞けば2年前に東京に越してきたという。昔話のあと、「できたら講演してくれない?」と言うので、「下関でやったような、ああいうスタイルなら……。それもなるべく少人数のほうがいい」と僕は答えた。

 先月下旬、川崎市まで出かけた。事前に聞いていたことだが、集まった15人のうち、男性は1人だけ。あとの女性たちは若い人も多少はいるが、ほとんどは50代から60代とおぼしき人たち。会場に現われた僕を見て、「私と同じ、頭白―い!」という声が飛んでくる。みんな、やたら明るくて、テンションが高い。こちらが圧倒されそうなくらいのエネルギーなのだ。

 彼女たちが聞きたい性の話としては、主にセックスレス、そしてそこに至る夫婦のマンネリ化・性のマンネリ化についてだった。彼女たちの多くがセラピストらしく、僕から聞きたいヒントのようなものも、自分自身の悩みなのか、接している相談者の悩みなのかは微妙だった。

 いや、二十数年前、大垰さんが「話を聞いてみたいし、みんなとも分け合いたい」と言ったスタンスがここにも活きており、性に限らず幸せになるための方法論はみんなでシェアしようとしている。その意味で自他の境界線はないに等しいのかもしれない。

 人間の悩みを突きつめていくと、性にぶち当たることがしばしばある。けれども、性はまだまだ科学・哲学されていないし、仮にそれを研究している人がいたとしても、自らの体験をもって答えが出せるかといえば、なかなかそうもいかないはずだ。それはセラピストも同様なのではないか。

 僕がその会で話した内容は、このブログで述べてきたことと重なるので詳しくは書かないが、簡単に言えば、妻が夫がセフレを作ったとしたら、道徳上は肯定されない。世間もそれは許さないという風潮がある。でも、僕らはずっとそこに縛られてきて、いつしか性の問題を道徳の問題にすり替えてはいないだろうか。

 恋愛感情と欲情も、よく同じ土俵で論じられるから、不倫や浮気はけしからんという話になるけれど、2つはもともと別のチャンネルなのだ。なぜなら、前者は感情オクターヴ、後者は本能オクターヴなのだから。欲情だけでセックスしていたら、当然マンネリは起きてくる。これを防ぐひとつの方法として目合(まぐわい)があり、もともと別だった恋愛感情と欲情が目合によって初めてひとつになる。

 会が終わって、僕は心地よかった。彼女たちは同じ目線でどんどん僕に話しかけてくる。講演会のように「わたし聞く人、あなた話す人」ではない。お歳は召していても、そのエネルギーはまるで少女のように若々しい。好奇心・探究心が旺盛で、あれこれ考える前にもう行動に移しているようなバイタリティーを感じる。よいものはみんなに発信していこうというスタンス。そして、なによりも性に真摯に向き合い、このままじゃマズイと思っている。

 SEALDsが出てきたとき、やはり世の中を変えていくのは若者たちだろうと思ったが、年輩の女性たちも決して侮れない。1人では難しくとも、何人かが共鳴しはじめると、きっと世の中に何らかの変化をもたらすのだ。


〈お知らせ〉
長らく「週刊代々木忠」をお読みいただきましたが、今回をもって一度休刊したいと思います。8年も続けていると、正直ネタが尽きた感も否めませんが、それ以上に僕にとってブログがだんだん義務になってきたというのが最大の理由です。義務でいいものは生まれません。しかし、休刊は廃刊の体のいい言い換えではありません。不定期にはなりますが、また何か書きたいことが浮かんだときにアップします。そのときはアテナの公式ツイッターでお知らせします。それまでの間は、すでに掲載済みの369話の中で、僕がもう一度読んでいただきたいと思う話を毎週1話ずつ選び、アップしていきます。各々の話に関して現在の僕のコメントのようなものも、なるべく書きたいと思います。みなさん、どうもありがとう! またここでお会いしましょう。

代々木忠



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2016年10月07日