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アテナ映像

週刊代々木忠

川の劇場
  いつになればコロナが収束するのか、先行きが見えない。暗い報道ばかりだし、どこへ行っても移るんじゃないかと気が気じゃない。しかしそんな不安も、川にいる彼らを見ているときには、きれいさっぱり忘れていた。

 川では、カルガモのヒナたちが母親のあとを追い、懸命に泳いでいる。多くの鳥は、親がエサを巣に運び、ヒナに食べさせてあげるけれど、カルガモの親はエサを与えないという。その代わり、生後まもなくエサ場まで連れていく。水辺に無事たどり着ければ、食べ物は豊富にある。しかし道中、カラスやネコにやられてしまうかもしれない。母親と一緒に泳ぐ彼らを見て、ここまで来られてよかったなぁと思うと同時に、流されたりしないかなぁとついつい僕は見守ってしまう。

 日を重ねるうちに、カルガモって、シラサギとけっこう仲がいいんだなぁというのを発見する。仲のいい理由も見えてくる。カルガモ親子が水草や苔をついばんでいると、水草に隠れていた小エビや小魚が逃げ出す。それをシラサギが食べるのだ。かといって、いつもカルガモ頼みの漁をしているわけではなく、シラサギは自分の足で川底をつつき、出てきた川エビやドジョウを獲ったりもする。

 一方、アオサギは動かない。魚が自分の前を通るのをじっと待っている。エサの獲り方が対照的な白と青だが、いちばんアクティブなのは黒いカワウだ。水中に潜ったかと思えば、追いかけていってエサを獲る。ひとしきり食べて腹がふくれれば、岩場に上がり、羽を広げて乾かす。孫にその話をしたところ、「カワウは長く潜っていると、羽が濡れて飛べないんだよ」と言う。調べてみると、羽の油分が少ないため簡単に水を含んでしまい、こまめに乾かさないと飛べないと確かに書いてある。

 鳥たちは水浴びが好きだ。ムクドリは集団でやってきて、賑やかにバシャバシャやっている。まるで大衆浴場のようだ。スズメやハトも水浴びするが、1羽ないしはツガイであって、集団で来たのは見たことがない。

 桜の季節に花の蜜を吸いに来る鳥たちもいる。ヒヨドリが寒緋桜の蜜を吸っていた。メジロも来るけれど、臆病だから気配を感じるとすぐに逃げてしまい、なかなか写真に収まってはくれない。

 コイはメスが卵を産み、それをオスたちが追いかけて精子をかける。卵の数は数十万個といわれる。初めは数え切れないほどたくさんの小さな稚魚が泳いでいるものの、大きくなるにつれて次第に数が減っていく。前述のシラサギやアオサギ、カワウなどに食べられるからだ。今泳いでいる大きなコイは、何十万個の中から孵化し、その後も無事に生き残った者たちである。よく見ていると、彼らは頭で川底の石を動かし、その下にいる虫を食べている。

 川にはスッポンもいる。ある日、明らかにツガイだなぁという2匹を見かけた。小さいほうが川の流れから岸に上がって、草むらの中へと入っていく。そこにはもう1匹ちょっと大きいのが待っていた。そして一緒に岸まで戻ってくると、スーッと流れに乗っていったのだった。

 このように、家の近くを流れる川には、僕たち人間の社会とは異なる世界が広がっている。そこに棲む者たちは、ただ無心に生きていた。今年はコロナ自粛のおかげで、自然とともにある彼らの生活をいっそう身近に感じることができた。

 忘れてしまいがちだが、僕らは自然の一部であり、みんな自然の恩恵にあずかって暮らしている。その現実を謙虚に受け入れ、ウィズコロナの時代を生きていこうと僕はあらためて思った。



2020年09月04日