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アテナ映像

週刊代々木忠

アーカイブス097 気づかないうちにあなたは催眠に入れられている!
 先に書いてしまうと今回は「自己催眠(自己暗示)」がテーマなんだけど、催眠に関心がある人にも、まったくない人にも、同様に関係のある話である。

 僕の友人のジャイアント吉田さんは、現在、日本催眠術協会の理事長をしている。長年、催眠の研鑽(けんさん)を積んだ彼が言う。「自己催眠は、他人に催眠を入れてもらうより3倍難しい」と。

 吉田さんの自己催眠に関するレクチャーの中で、レモンを使ったものがある。最初に受講者は自分自身に「レモンは甘い」という暗示を入れる。暗示が入ったら、次に実際レモンをかじる。しかし、多くの人が「甘いかなぁ? ホントに効いてるのかなぁ?」と今ひとつ確信が持てないのだそうだ。

 そこで吉田さんは「はい、すべての催眠が全部解けます!」と言ってポンと手を叩く。みんなは「うわぁー酸っぱい!」と、そのときになって初めて「ああ、自分はできてたんだ」と気づくという。

 つまり、自己催眠の難しさとは、なかなか催眠に入らないということではなく、入ったかどうかが自分ではわからないという難しさなのである。

 さて、ここからが本題なのだが、先にひとつだけエピソードをお話ししておこう。今から40年前、僕は日活の下請けの仕事をしていた。日活側の窓口は2人いた。ここでは、仮に「Aさん」「Bさん」としておく。Aさんは僕より2つ上、Bさんは僕より1つ上。

 同世代で、当時まだ30代と若かった僕らは、発注者と下請けという関係を超えて、プライベートな話もする友達のような存在になっていった。3人とも結婚していたが、Aさんはけっこう女遊びもしていて、映画のスタッフたち20~30人で海に出かけるときには彼女をつれてきたりした。Bさんは女遊びも浮気もしなかった。

 「おい、たまには風呂(当時のトルコ風呂)でも行こうよ!」という話になっても、Bさんは「いや、病気が怖いよ」と言う。これは仕事の面でも同様で、「これは客にはどうかなぁ……」と作品の欠点のほうに先に目が行く。一方、Aさんからは「俺は面白かったよ!」とよく言われた。彼は何事も笑い飛ばして済ませてしまう。

 僕から見て2人は絵に描いたように対照的だった。Aさんはいつも明るかったし、能天気だったし、ときには無責任で、わがままだったりもした。Bさんは真面目で、自分を律していたし、まわりの空気も読んだが、ハメは外さなかった。

 ロマンポルノが打ち切りになると、2人とも日活を自主退社する。Aさんは出身大学に帰って事務方のトップに就き、最後は理事長にまで昇りつめた。Bさんは制作プロダクションを立ち上げたものの、腎臓を患(わずら)い、週3日の透析を余儀なくされた。体と相談しながらではプロダクションの運営も大変だったことだろう。

 AさんもBさんもすでに他界されているが、知り合ってから40年という歳月のなかで、2人の人生はどんどん開いていったように僕には見える。見えるのは外側だから、心の内まではのぞけないけれど、Aさんはきっと充実した人生だったろうなぁと思う。それにひきかえ、Bさんの晩年はやはり寂しく感じてしまう。

 大学の理事長が幸せで、プロダクションの社長が不幸だという話ではむろんない。Aさんは能天気だがポジティブな自己暗示(自己催眠)をつねに入れ、Bさんは真面目だけれどネガティブな自己暗示をくり返し入れていたのではないか。本人たちは自覚しないまま……。それが積もり積もって人生を分けたのではないかと思うのだ。

 僕は去年から「愛と性の相談」を受けているが、たとえば「太っているからモテない」と言う女性に「あなたはこういう面でとてもチャーミングだよ」と言ったとする。それを聞いた相手が「今まで自分では思ってなかったけれど、言われてみれば確かにそういう面もあるかな」と腑に落ちれば、その時点でAさんと同じポジティブな自己暗示が彼女に入っていく。

 対照的に「そうは言っても、私みたいに太った女を誰が相手にしてくれるんですか」と考える女性もいる。「いや、そんなことはない。太っている女性じゃなきゃダメだっていう人もいるわけだから」と僕が言えば「でも、そんなのはごく少数でしょう」と言う。そこで彼女は自分の中で結論を出す。それはBさんと同じネガティブな自己暗示なのである。

 自己暗示(自己催眠)は無意識のうちに入ってしまい、入っているのかいないのかさえ、なかなか自分では気づけない。1回や2回ならまだしも、人は「私はここがダメだ」という同じ自己暗示を何十年も入れつづけてしまうことがある。これは催眠の視点から見ると、その人にとって大変よろしくない。

 だから「自責の念」というのも、やめたほうがいい。自分で自分を責めたところで、問題の解決にならないばかりか、結局、自分をダメにしていってしまう。見方を変えれば、自分を責めることによって、向き合わなければいけない本当の問題からは逃避しているのだから。

 「愛と性の相談」にやってきた女性たちに、よくこんな話をする。「女の人は朝とか、出かける前とか、鏡に向かって化粧をするよね。そのときニッコリ笑って『いい女だよ!』『大好きだよ!』って自分で自分に言ってごらんよ」と。この無意識の自己暗示を毎日くり返していれば、1年後、その人は必ず別人のように輝き出すことを約束しよう。


(2012年10月5日掲載)



 吉田さんのところには、いろいろな悩みを抱えた人がやってくる。たとえば「10年以上、偏頭痛に悩まされている」や「交通事故に遭って傷は癒えたが、夜中に事故の光景がフラッシュバックして困る」など、実にさまざまである。

 催眠によって偏頭痛は治るし、事故のフラッシュバックも消える。「でも悩みとは別のところで、その人が変わっていくことに驚くんだよね」と吉田さんは言う。たとえば、ずっとイライラしていた人が苛立たなくなったり、別れる寸前まで来ていた夫婦がよりを戻したり……。つまり、悩みという特定の事象の克服ではなく、その人たち自身がまるで別人のように変わっていくというのだ。

 どうしてそうなるのか? 吉田さんと僕は「トランスに入ったことが一番の理由だよね」というところに落ち着いた。

 僕の現場をふり返ってみても、事前に催淫テープを聴いてトランスに入り、そこで感じられた女の子は、現場でも俄然魅力的になる。それこそテープを聴く前とは別人のようなのだ。

 トランスに入るとは、一回「ニュートラルに戻る」ということである。それまでに入れられた刷り込みや過去の体験に人は縛られている。それが解(ほど)けて、縛られる前の状態に戻っていく……。すると無意識のうちに人は輝きはじめる。トランスとは「可能性への入口」とも言えるのである。





2020年11月20日