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アテナ映像

週刊代々木忠

続・テープを聴いてもイケない女たち
  前回は、妄想の世界でセックスをしている2人のエピソードを書いた。1人は天狗のお面が挿入されていることをイメージし、アナルセックスもレディコミで覚えた。もう1人は、したくてたまらない母親が医者にさわられているところを見ながら自分も欲情するという設定だった。

 彼女たちは、妄想の世界に現実以上のリアリティを感じており、自らのセックスをどこかで知的だと思っていた。けれども、2人ともテープを聴いてセックスしても、ついぞイクことはなかった。

 さて、今回紹介するのは、木下夕希(21歳)という女性。学生である。出演動機を訊くと「結果で言えばビデオなんですけど……なんか日常から、うん、ちょっと抜け出したい、とか」と言う。聞いていて、あまりピンと来なかった僕は「ホントに何をしたいんだろう?」と重ねて尋ねた。

 「幸せになりたいだけですね」。つづけて夕希は「でも自分の求める幸せって、やっぱり、経済的に豊かであること。お金も心も豊かで、家庭が円満で、もちろん自分のしたいこともしているっていうのが絶対条件だから……。好きな人とただ一緒にいられるから幸せって言ったら、絶対そうじゃないし」。

 「すげー贅沢な女」と僕が言うと「ね、すっごい贅沢ですよ。だから大変なんですね」と言って、夕希は笑う。彼女と話していて、男性体験はそれほど豊富ではないように感じられた。

 彼女にテープを聴かせると、時間とともに愛液が止めどなく溢れ出し、下着が透けて、膣の動くさまが見て取れる。膨らんだり収縮したり、まるでペニスが挿入されているかのように淫らに動くのだ。愛液の量たるやハンパなく、前回紹介した2人とは比ぶべくもない。

 それは濡れやすいか否かといった個人差の範囲をはるかに超えていた。ましてや、ペニスが入ったときのような大陰唇のふくらみや動きなど、前の2人にはまったく見られなかったのだから……。この違いこそ、夕希がテープを聴いて深い催眠に入っている証(あかし)なのだ。言い方を換えれば、思考に邪魔されていないということである。

 聴き終えて、感想を訊くと「動物になるから、誰でもよくなってしまう」と言う。下着から溢れ出た汁を吉村卓が音をたててすすると、自分で下着を脱ぎ、じかに舐めてほしいと指で開く。指で責められれば、涙を流しながら「入れて! 入れて!」とせがむ。湧いてくる感情を抑えることなく、表に出して夕希は甘えた。

 ちなみに、前の2人は涙を流すことも、甘えることもなかった。彼女たちは妄想によって刺激を得ようとしていた。だから、目の前の男に対して感情は動かなかったのである。

 夕希は卓とのセックスで「イク、イクー!」と何度か叫んだあと、動かなくなってしまった。きっと初めての体験だったのだろう。それは彼女がさまざまな束縛から解放されたときでもあった。

 最後に感想を求めると「メスでいる時間がないと……幸せじゃないかも」と言う。そして「幸せとか楽しいとか、頭で考えてた気がする。なんか、メスになるとか、いけないことみたいに思ってて。押し殺していました」。

 夕希は「メス」という言葉を使った。「メスでいる時間がないと幸せじゃないかも」と。彼女が冒頭のインタビューで語った「幸せ」は「経済的に豊かであること。お金も心も豊かで、家庭が円満で、もちろん自分のしたいこともしているっていうのが絶対条件だから……。好きな人とただ一緒にいられるから幸せって言ったら、絶対そうじゃないし」。

 これを、誰に言われたわけでもないのに夕希自身が「頭で考えてた」と気づいた。経験が少ないぶん余裕もなく、しかし、テープを聴いた時点で彼女はすでに自分を明け渡していたのだ。現場を信頼できるほどに……。だから、あれこれ考えるより先に、本能に正直になれたということだろう。それによって相手とつながり、イケたのである。そして彼女は理解した。それが「幸せ」なのだと……。

 と、ここまで書いていたら、1通の手紙が届いた。1年ほど前に「女性のためのエロス」という作品を購入してくれた女性からだ。この作品には、女性を淫らにする催眠誘導が入っている。夕希が現場で聴いたテープの、いわばソフトバージョンである。

 購入してくれた彼女は、聴きはじめたらBGMとして流れている音に連れ去られそうな恐怖を感じ、どうしたものかと相談してきた。僕はこんな返事を彼女に送った。〈トランスに入ると社会性の縛りがなくなります。それが人によっては自分が失われていく恐怖にも感じられます。しかし、連れ去られるのは、社会に合わせてきた自分に他なりません。いわば作られた自分です。なので、少々勇気は必要ですが、連れ去られてしまいましょう〉。

 きっと彼女は社会生活を送るうえで、とてもきちんとした人なのだ。手紙によれば、連れ去られてしまった場合、自分に戻れなくなる恐怖が強くて、しばらく聴くことができなったそうである。

 イベントで佐川銀次に経緯を話したところ、彼は「絶対戻ってこられるから大丈夫。聴いてごらん」と背中を押した。帰宅後、彼女は催眠誘導を最後まで聴いてみた。聴き終えて、しばらくボーッとしていたが、特に変化は感じられなかった。ただ、その晩オナニーしてみても、すっかり性欲は消えてしまっていたという。

 何日か後、彼女は1人の男性とセックスをする機会があった。今までのセックスとはちょっと違うような気がした。夜、彼のことを考えているうちにオナニーがしたくなり、クリトリスをさわってみたものの、以前のような気持ちよさがない。膣に指を入れたところ、彼のものが入っている感覚がよみがえった。

 イキそうになったとき、彼女は“彼の快感”を感じていた。そればかりか、彼の射精の感覚をも自分の体で感じ、そしてイッたのだという。つづけて手紙にはこう書かれている。

 〈イク瞬間、私は彼になっていました。だから、彼の余韻を私が感じて「彼は私とセックスをして、こんなに気持ちよくなっているのね」と思ったら、よけい愛おしい気持ちが溢れてきました。一人きりなのに、すごく幸せでした〉

 かつて彼女は、クリトリスへの物理的な刺激で快感を得ていたが、膣の中ではイッたことがなかったのだろう。だからこそ、催眠誘導を試してみようと「女性のためのエロス」を購入した。トランスに入れば、みんなクリトリスが感じなくなるわけではないけれど、僕には腑に落ちるところもあった。

 「女性のためのエロス」には、催眠誘導の前と後に異なる映像が入っている。前の映像はとにかく猥褻感に重点を置いている。要するにイヤラしいのである。しかし、誘導後の映像は心と心が溶け合うような目合(まぐわい)が映っている。催眠でトランスに入ってこの映像を見れば、それは脳内体験であり、あたかも自分自身が体験しているように感じる。だから単なる物理的な刺激では、もはや感じなくなっても当然だろうと思った。クリトリスでは感じなくなったけれど、彼女はもっと深い体験をしたのだ。

 なぜそれを彼女は体験できたのだろうか? 催眠誘導を聴く前、自分が連れ去られることを、そして元の自分に戻れなくなることを、ずっと彼女は恐れていた。僕は、その「自分」とは社会に合わせて作った自分だと指摘した。つまり「自分」の正体とは「思考」である。もう少し丁寧に言えば、思考が作り出した偽りの自分なのだ。

 思考から解放されるか、されないか――。ここが、前の2人と、夕希そして手紙の彼女を分かつ最も大きな違いである。「オーガズム、これ再誕なり」という言葉がある。作られた自分がいなくなったあと、本当の自分が再び生まれる。本当の自分は、本当の幸せが何かを知っているのである。
2021年03月12日