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アテナ映像

週刊代々木忠

変わりゆくなかで
 入院したことをブログに書いたら、心配した何人かから連絡をもらった。そして森林原人からも。彼がくれたLINEには近況も記されていた。

 〈ずっと代々木さんの現場が定期的にある男優人生を送ってきたので、この1年は手探りで進んでます。代々木さんの組で教わった、セックスを通して他者と関わり、つながっていく際の心構えを思い出しながらやっています〉

 知名度でも活躍ぶりでも僕を超えているというのに、相変わらず森くんの姿勢は謙虚だ。どうしたら心までつながれるのか――「ザ・面接」の撮影が実践の場であると同時に、撮影前や合間など、面接軍団のメンバーたちといろいろな話をする時間があった。森くんはそこで何かを掴み、あるときは軌道修正をしながらやってきたのかもしれない。けれども、コロナ禍で「ザ・面接」が撮れなくなっている。彼はこんなことも書いていた。

 〈僕も41歳になり、20代前半の女優さんとはジェネレーションギャップを強く感じるようになってきてます〉

 LINEが届いた頃、僕は「いんらんパフォーマンス」の総集編を編集していた。「いんパフォ」は1987~90年まで撮っていたシリーズだ。その後も断続的に何作か撮ってはいるが、もう30年以上前の作品である。

 「いんパフォ」では、セックスした男優が別の女優と隠れてやるのを目撃するという状況をあえて作ったりした。それを目にしたとき、最初にセックスした女優はショックを受け、嫉妬したり、ときには泣き出した。たとえ仕事であっても、一度肌を合わせた男には情が移るのである。

 昔、女たちはよく言ったものだ。「一回寝たら勘違いして『俺の女だ』なんて冗談じゃないわよ」と。しかし、そう言う彼女たちも「私の男」とまでは言わなくとも、やはり情が湧いたはずなのだ。

 仮に「いんパフォ」のような状況を今作ったとしても、情が絡んだドラマチックな展開はもう撮れないなと思う。それをやっても女の子は嫉妬しないし、泣きもしない。それだけセックスが変わってきたということである。

 情はドロドロした世界でもある。「情に溺れる」とも言うし、「(痴)情のもつれ」で殺傷沙汰になることだってないとは言えない。しかしその人間臭さの中で、人は傷つきもすれば救われもする。そしてやがて情を卒業し、ひとつ成長したときに対人的感性が育まれる。

 森くんが「ザ・面接」に初めて出たのは、彼が24歳のときだ。現在41歳になり、若い女の子との間に世代のギャップを感じている。具体的にどういうことがあったのかは書かれていないけれど、そこに寂しさを感じているのだろう。彼はこうも書いている。

 〈でも、思いかけずちゃんと話をする時間が取れたりすると、言葉も感情も通じる人なんだと思えることも多いです〉

 それなりの時間をかけて話ができれば、ギャップが埋まることもある。だが、現場では感情を見せない。「現場では」というより、今は日常においてもそうなのかもしれない。社会性の中で生きることに慣れていて、いちいち感情を伴う恋愛などは重いと。

 時代は変わる。恋愛もセックスも変わってゆく。昔がなつかしいと思わないでもないが、変わらなければ新しいものは芽生えない。だから結局は時代に合わせていくしかない。

 けれども、感情にフタをすることはできても、消し去ることはできない。たとえ何年でもそれは燻(くすぶ)り続けることになる。

 フタをされ、出口のない感情が、今ネット社会にネガティブな「世間」を作り出している。人を自殺にまで追い込むような陰湿で非情なバッシングが横行している。SNSの中の「世間」を変えることができるのは、成熟した対人的感性だけである。



(*「週刊代々木忠」はGWのお休みをいただきます。次に読んでいただけるのは5月14日になります)
2021年04月23日