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アテナ映像

週刊代々木忠

千葉の隠れ家(山の巻)
  前回のブログで、ジャイアント吉田さんとの出会い、そして男友達とよく千葉に行く話を書いたが、今回は「どうしていつも千葉なのか」である。

 今から21年前、僕が吉田さんに初めてつれていってもらったのは、千葉県鴨川市の金束(こづか)という場所だった。着いたのは深夜で、辺りは山の中である。東京からわずか2時間足らずで、こんな自然がまだ残っているのかと驚かされた。しばらく滞在して、その思いはさらに強くなった。フクロウは棲んでるし、サルは群れでいるし、イノシシもしょっちゅう来るのだから。

 吉田さんのその家は、空き家になった古い農家を借り受けたもので、吉田さん自身がいろいろ手を入れていた。こんなところに住みたいなぁと思った僕は、近在で空き家を探してみたが、なかなか手頃なものが見つからない。

 すると、吉田さんが「いいよ、俺、下に気に入ったやつがあるから、ここを使いなよ」と言ってくれた。彼は山の麓(ふもと)にある別の農家も借りていた。そこを2年半くらいかけて改造し、まさにできあがるところだったのだ。吉田さんから大家さんに話をしてもらって、さっそく翌月から僕が借りることになった。「素人発情地帯」や「たかがSEX されどSEX」でもよく撮影に使った家である。

 それからというもの、僕は休みが取れると、友人たちを誘ってはその家に出かけた。春先にはウグイス、夏に近づくとホトトギスに起こされる。ウグイスは心地よく起こしてくれるが、ホトトギスは暗いうちから啼きはじめた。夏になれば、自分の体が共鳴するくらい、何百何千というセミたちの鳴き声に包まれる。

 夜は夜で、シマヘビとカエルの棲みついた風呂場の浴槽から星空を見入り、虫とヨタカとフクロウたちのオーケストラに抱かれて、自分も自然の一部になってしまう。

 こんなこともあった。僕は僕でその家を改築し、神主さんを呼んで御祓いをしてもらった。ところが、神主さんの御祓いがなかなか終わらない。みんな長いなぁと内心思っているが、神事に口も挟みづらい。でも、終わらないのだ。あまりに長いので、さすがに声をかけた。すると神主さんが言ったのは、「ここは凄い場所ですねえ。私、今どっか行ってましたね」だった。

 以前うちで助監督をしていたD君も「ここは凄い。気が強すぎる」と頭を押さえた。「呼吸を整えて、しばらくここの場に合わせないと、とてもついていけない」と。また、別のある人は「ここは天河に匹敵する。木の枝が左巻きですもんね」と言う。天河とは、高野・吉野・熊野という日本三大霊場を結んだ三角形の中心に位置する、有名なパワースポットである。木の枝が左巻きか右巻きかは僕には見てもよくわからないが、でも、へぇー、ここは凄い場所なんだと思った。

 吉田さんはそれをわかっていて、借りたようである。いろいろ聞いてみると、長狭街道をはさんだ一つ向こうの山に大山不動尊というのがあって、そこは毎年夏前に護摩の行をやる。そこの大山不動を護っていた人が金束の山に代々住んでいたということだった。

 吉田さんがそれまで暮らしていた神奈川から千葉に生活の中心を移したのは、ある出来事がキッカケだった。「これ話すと、みんな笑うから」と言いつつ話してくれたのは、UFOとの出会いである。

 二十数年前、九十九里の海岸線から少し入ったところを、吉田さんは奥さんとスージーきくちというお弟子さんを乗せてクルマで走っていた。高圧線の鉄塔の上に目映い灯りが見えた。いったい何だろうと思いつつクルマを走らせると、その灯りには足がなく、宙に浮かんでいた。3人は衝撃を受けた。

 その後、映画「未知との遭遇」を見たとき、吉田さんは息を飲んだという。「あの映画を作ったやつは、絶対ホンモノを見てるよ。だって、そのものだったもの」。自身の遭遇から数年して、吉田さんは千葉に引っ越した。何かの気づきがあったのか、あるいは何かの踏ん切りがついたのか、それは僕にはわからないけれど。

 吉田さんの奥さんのアイデアで、金束の農家からちょっと離れた、山の一角に場所を借り、僕たちは見晴らし台を作った。念のために書いておくと、UFOとの遭遇が目的ではない。単に星を見るためである。夏場はもちろん秋口でも、寝袋の中に入り、寝っころがって1時間、2時間と、満天の星を眺めた。

 すると、僕はいろんなことを考えた。灯りのなかった原始の時代、こうして星々を見ながらどんな哲学をしてたんだろうなぁとか。こういうふうに見てるけれど、上を見てるようで、下を見てるとも言えるよなぁとか。そんなことを思いながら眺めていると、夜空の中に自分が落っこちてしまいそうな錯覚にとらわれたりもした。たまたまなんとか流星群のピークに当たったこともある。視界の中をどんどん星が流れてゆく。星が流れるたびに、その場にいるみんなからは拍手が湧き起こった。

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見晴らし台にて、僕と吉田さん。


 そんなふうに四季折々、昼も夜も自然を満喫する生活を僕は味わっていた。

 ところが、ある年、まわりの木々の伐採が始まった。伐採から1年半か2年になるかならないかぐらいで、井戸の水が枯れてしまった。水が枯れると、家がよじれて傾き出した。家の中の板壁が膨らんできて、留めてある板が弾け飛んだり、襖(ふすま)を閉めるとそのままバタンと倒れたり。それは日に日にひどくなっていく。そしてとうとう僕は、自然の真っ只中にあり、不思議な磁場を持つ、思い出のその家を離れる決心をしたのだった。

2010年02月05日