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アテナ映像

週刊代々木忠

みんなつながっている状態
  前回は心療内科について書いた。「4人に1人が自殺を考えたことがある」という調査結果も。ビデオの現場で言えば、昔の作品には笑顔とか色気とか、魅かれるものがたくさんある女の子たちが出演していた。淫女隊などは特に感情表現が豊かで魅力的な子を選んでいたし……。

 しかし、ある時期から感情を表に出さない子が増えてきた。頭脳的なプレイには長けているが、セックスでイケない。だから、事前面接にいっそう時間をかけることになった。感情を出さないと、なぜセックスでイケないのかを彼女たちに説く――感情は喜びにしても怒りや悲しみにしても「今」にいるが、思考は済んだことにこだわったり、先のことを考えたりして「今」にいない。そしてオーガズムは、喜びや怒りや悲しみと同じように「今」にしか起きないのだと。

 加えて、かつてはビデオ初出演という子を主に撮っていたが、近年の「ザ・面接」ではすでに何本もビデオに出ている子がほとんどとなった。彼女たちはこれまでの経験から自分の見せ場を考える。そのひとつが潮吹きである。40年というアダルトビデオの歴史の中で、潮吹きは確かに見せ場になってきた。ただ、どのタイミングでどう潮を吹くのがいちばん効果的か……もちろんこれも思考主導のプレイである。

 潮を吹くのは当人にとっても気持ちがいい。なので、多くの子は「潮を吹く」=「イク」だと考えている。セックスの快としては最高レベルだと。ほとんどの潮吹きは自分を明け渡さないことから起きる物理的な現象であって、オーガズムではないことを僕はレクチャーする。セックスを神聖な営みにまで高め、多幸感で感涙にむせぶか、快楽を得るための手段にとどまるかは、あなた次第だと……。そして見る人に与える影響を考えたとき、ギャラをもらっている僕らは心の通い合うセックスを彼らの心に届ける義務があるんじゃないかと女の子に問う。

 「惚れた弱み」という言葉がある。好きな相手に嫌われることを恐れるあまり弱い立場になることをいう。「裸の心」は傷つきやすく、とかく弱いものである。だから感情を隠して頭脳的なプレイに走る。ここには自己と他者を分かつ明確な境界線が存在している。たとえ惚れた相手でも、他者は他者なのである。これはきわめて左脳的な思考とは言えないだろうか。

 以前このブログにも書いたが、脳神経学者のジル・ボルト・テイラー博士はある朝、脳卒中に襲われて左脳が刻一刻と壊れていく。言語と記憶を並べる機能が失われ、手足も思うように動かせなくなる。そればかりか、自分と自分以外の境界線も曖昧になり、どこからどこまでが自分の体なのかもわからなくなっていく。つまり自己と他者を分かつのは左脳の機能なのだ。

 ふつうならもうパニックである。ところが左脳の機能を失い、右脳だけになったとき、テイラー博士が感じたのは今までに一度も味わったことのない至福感だった。自分の体が溶けて、宇宙と一体になったような感覚。もう孤独ではなく、寂しくもない。深い内なる安らぎと愛のこもった共感がそこにはあったという。

 博士の書いた『奇跡の脳~脳科学者の脳が壊れたとき』(竹内薫訳、新潮文庫)を読んだとき、まさにオーガズムの世界だと僕は思った。自分も相手も溶け合い、ひとつになった至福の世界。「考える」ではなく「感じる」世界。左脳には「過去と未来」しかなく、右脳には「現在」しか存在しない。

 今の社会では、言語、記憶、計算、論理、分析、自己認識、未来予測などなど、左脳が受け持つ能力が仕事でも学業でも評価され、求められている。だが、安らぎや共感や一体感が存在するのは右脳のほうである。生きるのが楽しくない、つらいと感じている人が、左脳の中で解決策を見いだそうとしても、結局、孤独という枷(かせ)からは、なかなか自由になれないのではないだろうか。

 生きづらさを変えるためには、左脳を休ませ、右脳を使うことだと僕は思う。ビデオに出る子の傾向として、感情を表に出さず、頭脳的なプレイに長けていると書いたが、これは左脳偏重の証左と言える。

 では、右脳を使うにはどうすればいいのだろうか。よく言われるのは、音楽を聴くということだ。ただ思うに、日本語の歌は聴いていて歌詞の意味を考え出すと左脳が働くから、知らない言語か歌のない曲のほうがいいと思う。

 自分の好きなことに没頭するのもいい。右脳には「今」しかない。裏を返せば「今」にいられれば右脳にシフトしているということだ。家にいて1人で没頭できる趣味があったら、コロナ禍でなかなか人に会えない、外に出られない状況を逆に有効活用できる。

 体を動かし汗を流すのも、右脳シフトにはいい。先日、下の娘が小学校1年の息子と1歳の娘を連れて八景島シーパラダイスへ行った。スタンプラリーをやって、上の子は魚釣りもし、1歳のおチビさんは歩いたり、抱っこしたり……。夜7時までシーパラで過ごした娘は、帰宅後にLINEを送ってきた。「きょうは本当に疲れました」と。僕は「肉体的に疲労困憊というのは、この時期いいかもしれないよ」と返した。すると「心地よいです。こんなに肉体的に疲れたのはホント久しぶり。体が疲れるっていうのはリフレッシュになりますね」という言葉が返ってきた。



ジル・ボルト・テイラー TED2008
https://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_my_stroke_of_insight/transcript?language=ja
2021年10月01日