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アテナ映像

週刊代々木忠

今に続く道
  性については一般の人と変わらないくらいの知識でビデオを撮りはじめた。ピンク映画を撮っていたといっても台本ありきであり、その中で性はおおむね否定的に描かれていた。まさかこんな女性がこんなことまで……。やはり煽情的にタブーを犯すものでないとお客さんは見てくれないという空気が、業界には立ち込めていた。

 そして日活の下請けを始めたときに摘発を受ける。性を表現すること自体がすでに犯罪なのだと……。裁判に巻き込まれることで、性と正面から向き合わざるを得なくなる。とはいえこの時点では、ビデオで探求したいものがはっきり見えていたわけではない。

 ビデオ第1作「淫欲のうずき」から始まる愛染のシリーズも、ずっと一緒にやってきたカメラマンの久我剛から「もったいないよ、撮ったら」と言われたからだ。映画「白日夢」で一躍有名になった愛染は、僕のプロダクションに所属していた。売れっ子がいるのになぜ使わないのかと久我は言ったのだ。

 「愛染がもうビデオの撮影に入っているらしい」という噂が業界に広まると、東映や日活をはじめ、じつにいろいろな販売会社がうちで出さないかと言ってきた。結局、久我が話をつけていた日本ビデオ映像から発売することに決めたのだが、これが6億という売上になる。

 それまでは日活の下請けとして300万~500万の制作費で作品を撮っていた。1本あたりの利益はせいぜい10万前後。ときには赤字になったりもした。それがいきなり6億である。顧問税理士が頭を抱える。「こりゃ、困ったなぁ。みんな税金でもってかれちゃうよ」と。「どうしたらいいの?」と訊いたら「こうなったら税金払うしかないでしょ」。「先生、もっと早く言ってくれよ」という話である。「じゃあ、2000万くらいのクルマをすぐに買って!」と言うので、ヤナセに買いに行った。ヤナセの営業マンは「きょう言ってきょうは、いくらなんでも無理ですよ」だった。

 ビデオはこんなに儲かるのかと正直思った。映画と違い、撮った映像をその場で確認できるし、4分毎のマガジンチェンジもない。デッキを2台置けばエンドレスでカメラを回せる。映画の頃から請負仕事ばかりで、自分が撮りたいものを撮ったことなど一度もなかった。本当に自分が撮りたいものって、いったい何だろうと初めて真剣に考えた。それはお金に余裕ができたというのも確かに大きかった。

 本番を撮りたい。本当のセックスを撮ってみたいと思った。でもそれは危険といえば危険だ。やっと裁判から解放されたというのに、また警察にやられるかもしれない。警察に捕まらずに本番を撮ることはできないのだろうか……。結合部を黒くボカしてあるが、洋画ポルノでは本番をしている。それが正式に輸入されてもいる。ということは税関、つまりは国が認めているということだ。ならば、本番をしていても結合部分さえ隠せば通るのではないか。もし警察が来たとしても、これで闘えると僕は思った。

 ストリップ劇場の支配人をしている友人に「ビデオで本番やる子、いないかな?」と訊いてみた。「ちょっと探してみるわ」と答えた彼は、その何日か後に「やるって子、いたよ」と言ってきた。こうして会ったのが西川小百合である。「台本があって、本番がちょっとあるんだけど」と言ったら「いいわよ」と言う。

 ところが、撮影当日になって「やっぱりできない」と言い出した。40年も前の話だ。それが表に出ることの抵抗は、現在の比ではないだろう。そして想像だが、たぶん彼女には男がおり、その男に操(みさお)を立てたんじゃないかと僕は思った。撮影前に西川が「できない」と言い出し、現場が右往左往しているところから久我はずっとカメラを回していた。

 なんとかしないといけなかった。話の流れで「オナニーだったらできるよな?」と西川に言った。「おまえが恥ずかしがって、イヤイヤって言いながらやってみたら、いつの間にか気持ちよくなっちゃったみたいな、そんなんでいいんだよ」と。

 撮れた映像は満足できるところまでは行っていなかった。でも、イヤラしい。それは本当に感じている部分があるからだ。愛染の「淫欲のうずき」よりこっちのほうが猥褻だと感じた。愛染に限らず女優の場合、そこにいるのは作られた「役の女」である。ところが西川の場合は、本人が反応している。控目ではあるものの、素の女が恥じらい、同時にメスとなった腰の動きが生々しい。

 演技のオナニーしか見てこなかった僕のオスが虜(とりこ)になった。他の子のも見てみたい。制作部や助監督には「とりあえずオナニーの真似事でもいいから撮れる子を探してほしい」と伝えた。当時はプロダクションもないので、個人的な伝手(つて)を頼りに1人ひとり当たっていくしかない。とはいえ「オナニーしてる?」なんて女の子に訊けない時代である。出演のハードルはきわめて高い。

 こうして7本を撮り終えたとき、スタッフの1人から言われた。「街で歩いてる女の子を見ると、みんな本当はあんなことしてるんだと、もう夜寝てても、うなされそうですよ!」。女の性欲を見せつけられると男はトラウマになってしまう、まだそんな時代だったのである。



(つづく)


2021年10月22日