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アテナ映像

週刊代々木忠

母性のスイッチ
  ちょうど10年前に撮った「お固い女性がビデオに出る理由 一度でいいから知らない人と...29歳主婦」という作品は、目隠しをされた新田利恵のクローズアップから始まる。

 ところが、撮影はその前日から行なっていた。僕は新田にバイブを渡し、カメラの前でオナニーしてくれるよう頼んだ。しかし、できない。そこで「エッチなビデオを見て、その気になったらオナニーして」と言い残し、僕はフィックスのカメラのスイッチを入れて部屋を出た。

 だが戻っても、新田はオナニーをしていない。いや、彼女はできなかったのだ。エッチになろうとはしているものの、潜在意識がそうさせない。潜在意識の中に、おそらく解決されていない過去があるのだろう。

 撮影を中断し、新田の心のバリアに穴をあける作業に移る。潜在意識の中の過去を中和する方法として、僕は退行催眠か呼吸法を使う。退行催眠の場合は、本人の生い立ちから順に話を聞いていき、どこに問題が隠れているのかを探さなければならない。しかし、29年間に及ぶ彼女の人生ストーリーを聞き出すには時間がなさすぎる。そこで荒療治ではあるが、呼吸法によってトラウマの中和を試みた。

 この作業はお互いの信頼関係が絶対的なものでなければ成功しないことを、僕は経験から知っていた。だから呼吸法を行なう理由として、新田にはオーガズムの概念と、オーガズムによって自分が抱えている問題はクリアになることを、過去の事例をまじえながら説明した。

 彼女はそれを理解し、僕の要求するさまざまなテンポの呼吸を積極的に行なった。夜も明けようという頃になって、彼女は心の中に澱(おり)のように溜まっていたものを吐き出しはじめた。

 すべてを吐き切り、穏やかな表情に戻った新田の股間に、僕はバイブをそっと当ててみた。新田が敏感に反応する。僕はバイブをゆっくり彼女の中に挿入する。「エッチは相手の顔をちゃんと見て、するんだよ」。新田は初めて自分から腰を使い、声を荒げた。そして僕の目をしっかり見つめたまま、イッた。

 そのあと、しばらく彼女の涙は止まらなかった。そして、泣き疲れた赤子のように深い眠りへと落ちていった。

 撮影を再開したのは、翌日の午後である。男優にはチョコボール向井を起用していた。チョコボールは、僕が期待する以上のものを見せてくれた。彼はなんと9回も射精し、ふたりのセックスは夜までえんえんと続いたのだから。こうして新田は、本当の自分を生み出したのだった。

 撮影が終わった時点で、新シリーズ「淫女隊」のメンバーに、ぜひとも新田を加えようと僕は考えていた。

 その後、新田は出演した男優たちから「凄い!」と言われた。「こんな子は初めて。カッコづけが通用しないし、全部持っていかれちゃう」と。そのころ新田は30歳になっていたが、年上の男優からも「お母さん」と呼ばれていた。

 当時、千葉県鴨川市の空き家になった農家一軒を丸ごと借りていて、よく泊まりがけで撮影に出かけた。「お姉様淫女隊 淫らな男にしてあげる」という作品もそこで撮影したものだが、僕にとっては忘れられない、ある事件が起きる。

 この作品に出演している男性は、AV男優ではない。パリコレでもオフィシャル・カメラマンとして活躍しているアーティストである。最初、彼が撮った「天使に扮した少女たちの写真」をじっと見入る新田。その頬を涙がつたう。彼女は「天使の写真」に感動し涙しているように映る。

 撮影が進んでいくなか、新田は彼を愛撫しながら「ウソつき!」「こんなにエッチなくせに!」と言い放った。だが、これは単なる言葉なぶりではない。なぜならば、つづけて彼女は「こんなにエッチなのに、隠しているの大変だよね。苦しいでしょう」と言ったのだから。さらには、中折れしてしまった彼に対して、「天使を探しつづけて、自分を忘れちゃったの?」と訊いたではないか。ひょっとしたら彼女には、あの写真を通して彼の内面が見えていたのではないか......。

 初日、撮影が終わってから寝るまでのひととき、みんなが自由に過ごしているなか、僕が横になっていると、布団の中に新田がそっと入ってきた。そして黙って僕を抱き寄せる。

 「どうしたの?」って訊いたら、彼女は「よしよし」などと言う。穏やかなその表情から、ふざけているようには見えない。僕がなにも言えずにいると、「『お母さん、お母さん』って呼んでるから」と言いながら泣いている。

 あくる朝起きて、僕がまだ布団の中にいるとき、ふたたび新田は入ってきて「また探している」と言いながら、僕を幼子のようにまた抱いた。つづけて「監督、3歳だよぉ。3歳の子がいるよ」と! 新田には話していないが、前にこのブログでも書いたとおり、僕は3歳で母を亡くしている。そんなことが頭をよぎり、新田に抱かれるまま、僕はしばらくのあいだ彼女の胸元に顔をうずめていた。

 本当はスケベなのに、まるでそんな自分をないことにして、聖なるものだけを追い求めようとした一人のアーティスト。本当のセックスができなくなってしまった彼を、新田は赤ん坊を愛おしむように抱き、その口に自分の乳を含ませた。

 僕がカメラのファインダー越しに見たのは、自分を見失いかけた幼子が、母のオーラに包まれながら、また本来の自己を取り戻そうとしている姿だった。ほんの半年前には自らの過去に縛られていた新田が、同じく過去の何かに苦しむ彼を、今は開花した母性によって癒そうとしている。

 それはとりもなおさず、僕自身の内面をファインダーの向こうに見せつけられているようでもあった。

新田利恵02-1.jpg
母性が開花した新田だから見えるものがある。


2009年01月16日