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アテナ映像

週刊代々木忠

大嫌いな人は自分の味方かもしれない!?(1)
 


 きょう会社に来たら、机の上に一冊の本が届いていた。タイトルを『新・AV時代』(文藝春秋刊)という。著者の本橋信宏が送ってくれたものだ。かつて本橋は「ビデオ・ザ・ワールド」などのビデオ評を長きにわたって執筆していた。そして僕の作品は、彼によってさんざん叩かれたものだった。

 これまでたくさん撮ってきたが、僕自身、もちろんすべての作品に満足しているわけではない。自分でも、編集のときにもう一押しすべきだったと後悔が残ることはあるし、できることなら世に出したくないなぁと思うものもある。そういうところをビデオ評で突かれるのなら致し方ないし、僕はその評価を真摯に受け入れ、今後の作品に反映させてもらおうと思う。

 だが、そうではないものがあまりにも多かったように思うのだ。たとえば「チャネリングFUCK」シリーズを撮っているときには、女の子をトランス状態にもっていくため催眠に入れたが、それを評して「女の子は実は催眠にかかってない。かかったフリをしているだけだ」と書かれたこともある。もちろんそこには「かかったフリをしているだけ」を証明する科学的論拠も哲学もない。ホンモノの評論家はこのような根拠のない論評は決して文字にしないだろう。不用意な憶測は命取りになるからだ。

 『新・AV時代』の中に、僕について書いたくだりで「業界人なら誰もがこの男をAVのカリスマと呼びつつ、左小指の欠損のイメージもあってか、近づくのをためらう」とある。カリスマなんかじゃないけれど、左小指の欠損は事実だ。このように当時のビデオ評では作品ばかりでなく、僕自身のこともいろいろ書かれた。まぁ、僕を叩こうと思えばネタには不自由しないということだろう。

 しかし、作品に対するあまりに的外れな中傷ばかりが続くと、「それだけ立派なことを言うんなら、おまえの生きざま見せてもらおうかい」とついつい心の中で毒づいてしまう。

 ところが、ある時期からビデオ評を読むと、本橋をはじめ評論家たちの心理状態に興味の対象が移っていった。どういうことかというと、同じ業界だから共通の仲間や知り合いはたくさんいる。すると、だれかが新宿で酔っ払ってポリボックスに入れられたとか、断酒会に入ったとか、またある者は鎮静剤や眠剤などの依存から抜けられないとか......、頼んでもいないのにいろいろな情報が耳に入ってくる。

 そんな情報を聞いたうえでビデオ評を読むと、彼らのそのときの心理状態とビデオ評の書き方からいろんなものが見えてくる。要するに、自分が精神的に追い込まれてつらいときには、作品をネガティブにとらえ、欠点ばかりを暴こうとしているのである。本橋信宏の『新・AV時代』にも、そのつらかった日々の様子は綴られている。

 現場でも、僕はこれと似たようなことを経験してきた。出演する女の子たちは自分がつらいときには他を寄せつけず、毒素を吐き散らしている。でも、そういう態度をとっていること自体もまたつらいのである。なぜなら、本人は心の中で七転八倒しているのだから。

 だから僕はビデオ評で叩かれても、だんだん腹が立たなくなっていった。怒るよりも「ああ、こいつは今、なにか個人的に大きな問題を抱えてるんだなぁ」と思うようになったのだ。そしてしばらくすると、「やっぱりそうだったのか......」という情報が業界の知り合いからもたらされるのだった。

 僕の作品叩きの急先鋒である本橋とは一度も会ったことはなかったのだが、ある日、「アサヒ芸能」が1カ月の密着取材を依頼してきた。取材者は本橋だと言う。僕は受けることにした。

(つづく)

2010年06月25日